第4話 ダブルベッド

 俺は合鍵で部屋に入った。

 彼女に嫌われてないか不安だった。

 でも、電話の感じでは怒っている様子はなかった。

 インターホン押しても出てこないから、俺は鍵を開けて居室にそのまま入った。


「大丈夫?」

「うん。平気」


 彼女は膝を抱えて泣きそうな顔をしていた。白とパステルカラーのモコモコした部屋着。下はショートパンツだった。色白で肉感的な足がにゅっと伸びている。そんな状況でも、俺はモヤモヤしてしまった。


「大丈夫だよ」


 俺は座ったままの彼女を抱き寄せた。

 けっこう胸が大きいのがわかった。

 彼女も背中に手を回してくる。

 俺たちが触れ合うのは初めてだった。


「俺、着替えるよ。もう寝ないと。明日仕事だし」


 もう、12時を過ぎていた。


 俺は脱衣室で顔を洗って、部屋着に着替えた。鏡で自分見ていて、これは恋愛なのか、パパ活なのかと疑問に思う。こんな場所でも、俺はムラムラしてしまう。こんなところで・・・なんて、被害者への冒涜だ。


 中学生も言っていた。

『目的によるよ』

 俺が期待してるのは、ダメな方だ。


 彼女が布団の中で待っていた。布団から目だけ出していてかわいい。これから俺たちに何が起きるかがわかっているみたいだ。俺は部屋の電気を消して隣に横になる。女子大生の嗅ぎ慣れないシャンプーの香りにソワソワする。

 俺は無言で聖人を気取る。


 彼女の体温がじわじわ伝わってくる。

 コタツみたいに暖かくて、汗が滲んでくる。


 ダメだ

 ダメだ

 ダメだ・・・

 もう、我慢できない、、、


 その時、LINEが鳴った。

 そんな真夜中にびっくりした。

 俺は取り合えずスマホを見た。


 A子からだった・・・。

 あれ・・・。

 何で?

 俺は後ろを振り返る。

 寝てるじゃないか・・・。


『騙すなんてひどいよ。

 事故物件なんでしょ?その部屋?

 もう、別れるから。


 バイバイ』


 え!

 待てよ!


 その瞬間、頭から冷水を浴びせられたようになった。

 俺はもうその場から動けなかった。

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事故物件 連喜 @toushikibu

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