実行

バブみ道日丿宮組

お題:初めての殺人犯 制限時間:15分

 復讐は意味をなさない。

 テレビではそんなことを言ってるようだが、

「しかたないよね」

 現実は変わらない。

 彼女を殺した彼を殺した。したかったことをやりとげた。

 特に彼は暴れたりはしなかった。

 自分が何をしてしまったのかを理解してた。

 だからこそ、ナイフは彼の身体に突き刺さり、その生命を奪った。

 残されたのは大量の血を吹き出す彼と、真っ赤に染まった私。

 自首すべきなのだろうが、お風呂に入りたいと思った。

 血で汚れた服と身体は気持ちが悪かった。

 もう二度と着れるものではないし、彼の身体にでも被せておこう。これで少しくらいは血の吹き出しが止まるかもしれないと、さらにナイフで空いた穴に服を突っ込んだ。

「……」

 血溜まりはなんどか雑巾を絞ってどうにかしよう。

 今はとにかくお風呂だ。

 いつでも入れるように家のお風呂は常時保温してる。

 一週間に一回は入れ替えと掃除はしてるが、今はそんなことはどうでもいいだろう。

「あぁ」

 お気に入りの下着までが赤くて、気が滅入りそうだった。

 ネットで買えるだろうか? お店にはないと思う。

 人を殺した状態でまだ私は平常心を保ってた。

 殺した彼が落ち着いてたのに近いか。

 洗面所に行き、洗濯機に下着を入れる。

 洗濯しようか迷ったが、実行することにした。

 お気に入りはやはりお気に入り。

 捨てるのは惜しい。

 彼女が好きだって言ってくれたものを粗末にはできない。

 お風呂につかると、疲れがふっとびそうだった。

 何分か入ってると、これからどうしようという疑問が浮かんだ。

 警察を呼べばいい。すごく簡単だ。

 でも、なんだかそんな気分にはなれなかった。

 なら、死体をどうにかするしかない。

 スマホとかも壊したほうがいいだろう。

 解体の仕方とか動画サイトにないかな? さすがに人間を解体するのはないだろうけど、他の動物とかならたくさんあるだろう。

 いろいろ買わないといけないのもあるだろう。

 包丁じゃ大きな肉は切れないだろうし。

「……うん」

 考えは決まった。

 あとは実行に移すだけだ。

 彼を殺したときと同じように、思考にただ従えば良い。

 それが生きるということなのだから。

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実行 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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