689
いらっしゃいませ。
と、言う言葉と一緒に
初めての空間へ案内された。
「カウンターとテーブルどちらにしますか?」
「今日は、テーブルでお願いします」
「かしこまりました」
おれんじ色のランプで微かに見渡せる店内
聞きなれない英語の歌
沢山のCD
小洒落たあんてぃく
各テーブルの真ん中には
きゃんどるの火が揺れていた
知らない世界に
もっと知りたいと思う人と、一緒にいるのは
とても不思議な気持ちになった。
向かい合わせで席に着き
正面からかすみの顔を見るのが少し恥ずかしかった。
「さてと、マサト君何飲もうか?」
「かすみさんと、同じでいいですよ?」
特別お酒は好きでなく
こう言う場にも慣れてない
何を飲めばいいかすら考えられなかった。
「えーまたーー?笑
じゃー赤ワインとかどお?」
「いいですよ、それにしましょう」
ワインなんて、飲んだ事もないが
そんな事を、言うのすら恥ずかしかった。
「おっ、ワイン飲めるんだ!
大人ですなー笑」
「ちょっと、からかわないでくださいよ!」
店内が薄暗くてよかった。
見透かされかのようで
少しドキッとした表情もうまく見えないだろうから。
テーブルに、置かれたワイングラス
注がれる689と言う、赤ワイン
同時に出されたチーズ
普段の生活からかけ離れた、この空間に緊張し
慣れていない事への恥ずかしさや、自分の醜さを、再確認させらたが、
かすみと共有しているこの初めての時間を
大切なものしたいと思った。
「このワイン好きなんだよねーー!
マサト君の口に合うかわからないけと、
もし合わなかったら、好きなの飲んでね」
「いえ、大丈夫ですよ付き合います」
乾杯し、一口飲んでみた。
なんとも言えない味だった
苦い過ぎる訳でもなく
渋味が強い訳でもなく
甘さが広がるが
ちゃんとお酒の味がした。
「ん??どしたの??」
「あっ、いやっ、意外とこれ飲めますよ?
美味しいです」
かすみがお酒を飲む姿が
とても素敵で、見惚れてしまっていた。
「ほんと!?よかったーー!
じゃーもう一回乾杯!」
無邪気に笑うかすみを見て
頭の中に恋の音が響いていた。
まだ、お互い何も知らないはずなのに
かすみの事をなにも、わからないのに
自分の事も何も話してないのに
なぜだろう
いつからだろう
この笑顔をずっと近くで見ていたい
そんな初めての気持ちになった。
恋の音が響く時、何を想ふ 星クロ @hoshi96
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