恋の音

ユミとは定期的に連絡をしている。

ユミが会社に勤め、今までと変わらず、自分に嘘をつき生きている事。

周りと合わせるのは昔から慣れているからこそ、上司や同期とからは必然と、良い交友関係のを築けている事。

だからこそ、自分にしか心を開けない事。

その都度ユミは連絡をしてくるのだった。


環境が変わらない自分

色んな人と出会い環境が変わって行っても

気持ちが変わらないユミ


環境がどうなっても、二人の関係は、なかなか変わられなかった。


次第に、ユミの言う

「どこまでも一緒に逝ってくれる?」

と、言う言葉に

「もちろんさ」

と、しか答えてあげれなくなっていた。 



散歩しながらの電話でも、自分の環境か中々、変わらず、話せる事も少なくなっていて

ユミの話しを聞くだけになっていた。


ちょうど電話を切ろうとした時、

向かいから歩いてくる、かすみに気がついた。

少し恥ずかしい気持ちと、なんとも言えない気持ちが重なった。


「どこまでも一緒だよユミ、またね」

「ありがとマサト、いつまでも一緒の気持ちで嬉しいな」

電話を切る最後の言葉に、また心が痛んだ。




「こんにちは、マサト君」


「こんにちは、かすみさん

かすみさんも、良く散歩されてるんですね?」


「最近、マサト君が良く散歩してるの知ったから、もしかしたら、会えるんじゃないかなーって笑」

少し意地悪そうに答えた。

驚いたが、また軽く流そうとした。


「なんですかそれ?笑

タバコ吸いながら散歩してるだけなので、僕は良くこの辺に、いますよ?」


「冗談よ?私もタバコを吸うために散歩しに来てるの、良かったら付き合ってくれない?」



そう言って、タバコに火をつけ吸い始めた。


「いいですよ、今日は仕事も休みですし、早く戻らなくていいので」


そう言って、自分もタバコに火をつけた。


「外で吸うタバコ美味しいよねーー」


「あー何となくわかります、特に寒いは美味しく感じませんか??」


何気ない会話


「あーーわかるーー!なんとなくね!

あっ、そう言えば、良く電話してる相手は彼女?」


少し言葉が詰まった。

確かにユミと自分はお互い[特別]ではあったが、

付き合うとかそう言った類の話しをした事がない。

それよりも、何か深い部分で繋がれていたから。


「違いますよ、友達なんですけど…

まぁ、友達ですね」


「へー友達ねー」


横目で疑うような目で見られた。


「なんですか、その顔と返事…」


かすみのタバコを吸う仕草はとても魅力的で、

目が話せなかった。

細い指も、青白い肌も、何か不思議なくらい、

自分を魅了した。


「なんでもないよーー

そういえばマサト君は、お酒は飲める??」


「まぁ得意じゃないですけど、少しくらいなら」


「じゃーちょっとコンビニ行こうか!

お姉さんがご馳走しちゃう!笑」


「あっ、ありがとございます」


近くのコンビニまで歩いた。


「私、ビール控えてるからビールじゃなくてもいい??」


「えぇ、何でも大丈夫です、同じやつ、頂きます。」


外で待ってる間、とても不思議な気持ちだった。

今までで、初めての感覚

ユミには抱かなかった感情

自然と溢れる言葉や笑い

もっと知りたいと思う探究心。


どこからか、恋の音が鳴り響いた。

人生で聞いた事の無い、綺麗な音色。

言葉では、表せらない程の不思議な音。

自分にもこんなに、綺麗な音色が聞こえるなんて思いもしなかった。


なぜかわからないが、心の底から抱いたこの感情が、恋だと最初はわからなかった。


それと同時に、今までの自分が、バレてしまうではないかと言う恐怖心が

同時に押し寄せた。




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