揺れ
周りや、自分に嘘をつき
絶望しながら生きてきた事から
少しだけ解放され
これからは少しだけ希望を、持てる気がした。
月日が経ち、ユミは大学を卒業した。
その間も、マサトとユミは
事ある事に、お互いの気持ちを確かめ合っていた。
ユミは、大学での生活
マサトは、家業の飲食店での出来事
何かあれば、すぐにお互い連絡を取り合っていた。
入学式の日から、周りとの関係はうまく行かず、大学でも周りに合わせるの必死になってた時も
慣れない仕事で、心がすり減り
沢山のお客さんに、愛想を振りまくのが疲れてしまった時にも、
当たり前のように二人は、同じ気持ちで居る事を疑わなかった。
「もしもし?ユミ新しい生活にはもう慣れた?」
「慣れるも何も、今まで通り変わらないわ、
毎日毎日、周りに合わせるのが嫌になっちゃう…マサトこそ大丈夫??」
「うん、笑いたくもないのに、笑わなきゃ行けないの疲れちゃったよ…
でもまぁ今まで通りだね
連絡くれてありがと
ユミと話してると、一人じゃないと思えるから気持ちが保てるよ…」
「一緒死のうって言ったらどうする…?」
「変わらないよ、ユミが望むならいつでも…」
「ありがとう、変わって無くて嬉しい…」
「変わらないよ…唯一の繋がりだから…」
生きていく事の辛さや、苦しさ、醜さしか知らなかった。
この世界は自分が思っている以上、悪くない事を、まだ知らなかった。
二人でしか生きて行けないと信じていた、
そうする事でしか生きて行けないと、信じるしかないと思ってただけだった事にも、気がつかなかった。
ユミに、変わって無くて嬉しいと言われた時、
これからも、何も変われないと思ってしまった
た。
嬉しい気持ちは嘘じゃないのに、
それでもなぜか少し、悲しかった。
それでもユミはいつまでも、唯一の繋がりの中で、二人の世界でしか生きられない事を望んでいた。
その事で少し胸が苦しくなった。
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