フレンちゃん

ジュン

第1話

ある孤独な男がいた。 男は思った。

「 僕は友達が欲しい」

そこで男は友達型ロボット を作り上げた。

「君の名前は フレンちゃんだ」

フレンちゃん 君は絶対に僕を裏切ってはいけないよ。

「わかった」

男はフレンちゃんに話しかけた。 僕はとても孤独な男だから 君を作ったんだよ。 この気持ちを 孤独と言うんだ。 フレンちゃん 、わかるかいこの気持ちが。

「わからないなあ」

孤独というのはね、 友達がいない気持ちなんだよ。 フレンちゃんは尋ねた。

「 私には友達がいるのか」

男は言った。 フレンちゃんには僕がいるじゃないか。

「 だから僕は孤独を感じないんだ」

フレンちゃんは尋ねた。

「あなたも 僕がいて 孤独を感じなくなったの?」

男は戸惑った。 僕は相変わらず孤独だ。 フレンちゃんは尋ねた。

「 僕がいるのに ?」

「なぜ孤独なの ?」

それはきっとフレンちゃんが 友達を 作ることが禁止されてるからだ。 男はそういった。 フレンちゃんが 友達を作れないということが僕自身に重なって見えるんだ。 男はそう答えた。

フレンちゃんは言った。

「じゃあ僕も 友達を作ろうか」

男は思った。

僕を裏切るのかい? 君は 自由になりたいのかい ?

フレンちゃんは訊いた。

「自由って何 ?」

それはね 自立していくということだよ。 男はそう答えた。

「自立すると友達ができるの?」

そうだよ。

「だったら 僕を自由にしたほうがいいのかもしれない」

フレンちゃんは言った。

「 僕が孤独を感じないのは きっとロボットだからなんだ」 「でもあなたは人間なんだ。 だからきっと 人間の友達がいないと 孤独を感じてしまうんだ」

男は言った。

「 じゃあ君とはお別れだ」

フレンちゃんは言った。

「 なんか寂しい」

「それが 孤独というものなんだ」

男はそう呟いたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

フレンちゃん ジュン @mizukubo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ