もちろん嫌な事はあったけど、可愛い女性とイチャイチャしたり、ちょっぴりエッチな生活を送って、ハッピーエンドを迎えられたので、幸せ一杯です! (短編集)
憎たらしいクラスメイトが、お前みたいな冴えない奴を好きになる奴なんていないと言ってきた。いや、こんな俺でも好きになってくれる女子は居る! そう信じていたから、可愛い彼女が出来ました!
憎たらしいクラスメイトが、お前みたいな冴えない奴を好きになる奴なんていないと言ってきた。いや、こんな俺でも好きになってくれる女子は居る! そう信じていたから、可愛い彼女が出来ました!
キスを交わした日から10年の月日が流れる。今日は休日なのでベッドでゴロゴロしていると、電話が掛かってきた。
「愛羅、どうした?」
「ねぇ、そっちに同窓会の話いってる?」
仕事の関係上、偽関西弁を直したとはいえ、まだ愛羅の標準語は慣れないな。
「あぁ。来たけど、どうしようか迷ってる」
「それ、行かないやつでしょ?」
俺はベッドから起き上がり「いや、行きたいとは思っているよ でも噂だと篤も来る予定だって聞いたから……」
「そんなの気にしなくて良いじゃない。ねぇ、久しぶりに会える友達もいるし、行こうよ」
「──分かった。じゃあ、行く」
「オーケー、じゃあ待ち合わせて一緒に行きましょ」
勢いで行くとは言ったものの、まだ気乗りしない気持ちが残る。でも最近、愛羅とも忙しくて中々、会えていないから、会っておきたい。
※※※
同窓会の当日。俺たちは約束通り、同窓会に向かう──予約した同級生の名前を店員さんに言って、案内してもらう。会場は既にガヤガヤと賑わっていて、懐かし顔が並んでいた。
「おぉ、クラスで一番のビックカップルが来たぞ~」と、クラスでリーダー的存在だった男の子が俺たちに向かって手を振る。クラスメイトの視線が一斉にこちらに向けられた。
「えっと……俺達が最後?」
「そうだよ。ささ、真ん中あけておいたから座ってくれ」
「えぇ……端で良いよ」
「そんなこと言うなよ。お前たちの事を色々聞きたくて、みんな待っていたんだぞ」
「はぁ……」
逃げられない様子だったので、俺は愛羅さんの顔を見る。愛羅さんはコクリと頷き「仕方ないよ」
「じゃあ……」
俺はそう返事をして、愛羅と一緒に真ん中の席へと移動する。俺達が座ると幹事に飲み物を聞かれ、俺はビールを愛羅はカシスオレンジを頼んだ。
──しばらくして俺たちの飲み物が到着すると同窓会が開始される。最初は不安だったけど、割と和やかの雰囲気のまま進み、俺はお酒が進んでしまった。
「夢斗君。飲んでる?」とリーダー的存在だったクラスメイトが俺のコップにビールを酌んでくれる。
「あ、ありがとう」
俺もお酌返しをすると、クラスメイトは「おっと、ありがとう。なぁ、どうやって大手のアニメ制作会社に就職できたんだ?」
「どうやってって……アニメが好きで、とにかく自分を信じて頑張ったとしか」
「へぇ……」
クラスメイトは愛羅をチラッと見ると「じゃあテレビで活躍する程の綺麗な女優さんを射止めたのも、そんな感じ?」と、クラスメイトは聞いてきて、ニヤニヤしている。
「まぁ……当たらずとも遠からずって感じ」
それからクラスメイトからの質問攻めにあい、気分を良くした俺はお酒の勢いも相まって気持ちが大きくなる。そしてあの時の事を口にした。
「高校の時よぉ。とあるクラスメイトが俺に偽ラブレターで悪戯を仕掛けてきたんだ」
「なにそれ、ひでぇな……」とクラスメイトは答え、チラッと篤の方をみると「そんな事する奴、このクラスに居たんだ」
「だろ? そんでよ、そいつ俺に向かってこう言ったんだ。お前みたいな冴えないを好きになる奴なんていねぇって! だけど、どうよ!」と俺は言って、愛羅の肩を抱き引き寄せる。
「俺と付き合てくれる素敵な女性だって、こうやっているんだ!」
俺は愛羅の肩から手を離すと、コップに入った水をゴクッと飲み、ふらつきながらも立ち上がる。こんな場所でするつもりはなかったけど、後回しにもしたくない。俺は勢いに身を任せ「愛羅。立って向き合ってくれないか?」
愛羅は不思議そうに俺を見つめながらも「うん」と返事をして立とうとする。ちょっとよろめいたので右手を差し伸べた。
「大丈夫?」
「うん、ありがとう」と愛羅は返事をして、左手で俺の手を掴むと立ち上がった。
俺は愛羅の左手を握ったまま、左手でロングコートのポケットに手を突っ込む。──そして、指輪の入った入れ物を取り出す。
「あ……」
愛羅は気づいたようで驚きの表情を浮かべる。周りも気付いたようで騒がしくなるが、それでも続けて入れ物の蓋を開け、指輪を取り出した。
「ごめん……本当はもっと静かな場所で、二人っきりでするものかもしれないけど、お互い忙しいし、先延ばしにしたくないから、いまさせてもらう」
愛羅さんはニコッと微笑み「うん、えぇよ」
「愛羅。君はこんな冴えない俺の事を好きと言ってくれました。それが本当に嬉しくて君となら一生、幸せに暮らしていけると思います」
俺は緊張なのか、それとも酒のせいなのか、よくわからないが震える手をとにかく抑え、愛羅の細くて長い綺麗な薬指に指輪を通す。
「だから……俺と結婚をしてください」
愛羅は、色々な角度から見惚れるように指輪を見つめ「ルビーなんやね」
「うん、俺達らしいだろ?」
「うん、そうやね」
「それで返事は?」
愛羅は突然、俺に抱きつき「もちろん、オーケーや!」と答えてくれた。俺も愛羅の背中に手を回しギュッと抱きしめる。
「ありがとう」
クラスメイトが祝福の拍手をしてくれる。そんな中、篤は会場の端で俯きながら、気まずそうにチビチビ酒を飲んでいた。
どうだ篤……信じていたら、誰にだってこんなチャンスはあるんだ。俺達は幸せオーラを醸し出しながら、美味しいお酒を堪能した。
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