もちろん嫌な事はあったけど、可愛い女性とイチャイチャしたり、ちょっぴりエッチな生活を送って、ハッピーエンドを迎えられたので、幸せ一杯です! (短編集)
憎たらしいクラスメイトが、お前みたいな冴えない奴を好きになる奴なんていないと言ってきた。いや、こんな俺でも好きになってくれる女子は居る! そう信じていたから、可愛い彼女が出来ました!
憎たらしいクラスメイトが、お前みたいな冴えない奴を好きになる奴なんていないと言ってきた。いや、こんな俺でも好きになってくれる女子は居る! そう信じていたから、可愛い彼女が出来ました!
食事を食べ終えた俺たちは店を出る。愛羅さんが歩きながら「次は何処に行くん?」と言うので、俺は「そろそろ帰る時間だし、いよいよ醜い魔法使いと幼馴染の少女かな」
「え~……もうそんな時間なん。まだ回ってないアトラクションだってあるのに」
「それはまたのお楽しみだね」
「ちぇー……まぁ仕方ないね。醜い魔法使い、楽しみやね」
「うん」
──俺たちはアトラクションの入り口に来ると、最後尾に並んだ。
「なんかドンドン減ってるけど、どうしてなん?」
「このアトラクションは大勢の人が一斉に入って、3Dを体感するタイプだから割と早く順番が来るんだよ」
「へぇー、そうなんや」
──待つこと数十分、俺たちの順番が来て、二人分の3D眼鏡を受け取ると愛羅さんに「行こうか」と声を掛ける。愛羅さんは「うん」と返事をして歩き出した。
洋風の建物の中に入ると、このアトラクションの説明が始まる。俺たちは映画館のような椅子に座ると、音声ガイドに従い3D眼鏡を掛けた。劇場が暗くなり、巨大なスクリーンに映像が映し出され物語が進んでいく──。
次は冴えない魔法使いのアルウィンが、幼馴染のソフィアを振り向かせたくて、未熟なのに魔力を増幅させる魔法石を使ってしまうシーンだ。このシーンはインパクトを出したいのか、醜い化け物に変わるアルウィンの姿が立体的に映し出される。
愛羅さんの反応が気になり、視線を向けると、「おぉ……迫力あるねぇ」と、愛羅さんは呟き、見入っているようだった。ふふ、良い反応だな。
──物語が進み、アルウィンを心配したソフィアが、危険な雪山に入ってしまうシーンに突入する。ソフィアがウルフのようなモンスターに囲まれ、ピンチのところを、アルウィンが魔法石の力を使って、薙ぎ払うように炎を出し、一掃する重要なシーンだ。
「炎が綺麗だねぇ……アルウィン、メッチャカッコいいやん」と、愛羅さんは呟き、小刻みに手を突き上げ、応援するジェスチャーをしている。重要なシーンだというのに、愛羅さんの仕草が可愛くて、ついつい見入ってしまった。
次はいよいよクライマックスだ。──おかしいな。このシーンが見たかったはずなのに、どうも集中が出来ない。俺はまた愛羅さんに視線を向ける。目に飛び込んできたのは、愛羅さんが両手で口を覆い、感動のあまり涙を流している姿だった。
愛羅さんが俺の視線に気づいたのか、こちらに目を向けてきて目が合ってしまう。愛羅さんは慌てた様子で、両手で顔を隠した。俺は直ぐにスクリーンの方へと視線を戻す。泣いている姿を見ちゃうなんて悪い事したな。
──アトラクションが終わり、俺たちは劇場の出口に続く通路を黙って歩く。何だか気まずい雰囲気だ。
「あのシーンにあの音楽は卑怯や!」と、愛羅さんが言うので視線を向けると、愛羅さんはフグのように頬を膨らませていた。
「醜い魔法使いは、あの音楽があったから売れた的な所あるし、仕方ないよ」
「──うちが涙流してたの。誰にも言わんといてな……」
「うん、誰にも言わないよ」と俺が返事をすると、愛羅さんは安心したかのように笑顔を見せる。
「二人の秘密やで」
「うん、二人の秘密にしておくよ」
俺がそう返事をすると、愛羅さんは俺の小指に自分の小指を絡めて「じゃあ、指切りしてや」
周りに他のお客が歩いている中、俺は照れくさかったけど、ちゃんと愛羅さんと指切りをした。
──建物の出口に続く通路を真っすぐ歩いていると、お土産コーナーへと辿り着く。
「お~、こんなところにお土産屋があるんや。商売上手やなー」
「本当にね」
「なぁなぁ、時間まだあるやろ? ちょっと見て行っていい?」
「うん」
ゆっくり歩きながら商品棚を見ていくと、愛羅さんが急に立ち止まる。
「夢斗君がアルウィンを持ってるから、うちはソフィアにしようかな」と愛羅さんは言って、ちびキャラになったソフィアのキーホルダーを手に取った。
「良いんじゃないかな」
「夢斗君はそれ持ってる?」
愛羅さんはそう言って、アルウィンが持っていた魔法石の形をしたプラスチックの玩具を指さす。
「ここ限定の製品だから、持ってない。せっかくだし、買っちゃうかな?」
「うん。良いと思うよ」
「それじゃ──」と俺は商品棚に手を伸ばし、魔法石の玩具を手にすると、二人で一緒にレジへと向かった──。
買い物を済ませた俺たちは、少し早かったがテーマパークを出て、帰りの電車に乗った。二人掛けの席に座ると「ふー……」と、声を漏らす。
「座れて良かったね」
「そうやね」
──電車が発車して数分経過すると、心地よい疲れと電車の音、そして揺れのせいで眠くなってくる。昨日、興奮して眠れなかったせいも少しはあるかな? そう思っていると、腕にコツンっと何かが当たる。視線を向けると、その正体は愛羅さんの頭だった。
「ふふ……」
寝ちゃったのか、すごくはしゃいでいたから、疲れたんだろうな。俺はちょっと恥ずかしかったけど、眠気を必死に堪え、そのままの態勢で窓を見据える。それにしても……今日一日を振り返ると、一人で来ていた時より、更に楽しかったな。
──冴えない魔法使いアルウィン。なぜ俺がこのキャラが好きなのか。それはこのキャラが自分に似ていると思うから。そしてこのアニメが好きなのは、ソフィアのような包容力のある女の子が自分を好きになってくれたら良いなって毎回、観るたびに思うからだ。
俺は視線を愛羅さんに向け、可愛い寝顔を見つめる。そしてこう思った。愛羅さん……俺のソフィアは君であって欲しいなって。
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