第5話
次の日、一心は一助に川の事故の関係者全員に話を聞きたいと連絡を取るように指示した。
一助が電話をかけまくっている所へ、お客さんがきた。
「おはようございます。一助さんいますか?」
一心は心当たりの無い女性を事件の関係者かと思い、
「どうぞ、お話はこちらでお聞きします」
と応接セットへ座るよう促した。
女性は変な顔をして
「いえ、あのう、一助さんに会いたいのですが?」
そこへ一助が奥の部屋から顔を出した。
「やあ、彩香ちゃん、おはよう」
「一助さん、おはよう」
微妙な雰囲気と数拍の間があって、一助が彼女を紹介する。
「一心、俺の彼女の三条路彩香(さんじょうじ・あやか)さんです」
「え〜、お前いつの間に彼女なんか作っちゃて、お〜、俺、岡引一心、こいつの親。よろしくな。随分と可愛いお姉ちゃん掴んだなあ」
「こら、そないな言い方おますかいな!いけずばかり、ほんまにすかんおひとやな〜。すんまへん、あて、一助の母の静どす。まあ、かいらしいひめさんやわーあやか言いまんのっか?名前もかいらしいなあ」
「もう良いから、京都弁は彩香わかんないから、じゃ、ちょっと出てくる。一心、関係者全員の連絡先書いとるから、あと、よろしく」
それだけ言って、二人の世界に浸って手を繋いで階段を降りて行った。
美紗も数馬もドアの隙間から覗いていて
「何あれ、一助に女出来たのか?」そう言ったのは美紗。もっと女らしくなってほしい一心。
「美紗、お前女言葉覚えろや、数馬と区別つかんぞ」
「うっせー、俺は俺だ!」
「俺じゃなくって、わ・た・し、だろうが」
ふんと奥の部屋に姿を消した。
「いやー驚きだな、誰か気付いてた?」
誰も首肯しない。
「俺も、頑張ろっ」数馬も姿を消す。
一助の置いていった紙を見ると、関係者の電話、住所が全部書かれていた。やることやったら、デートへ行っても、文句は言えない。
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