第52話✤市場で食材放浪記
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◆◇◆◇◆
さて、今日は作り置きの為の買い出しに出かけますよと。
買い出しは僕だけ。
聖とメルトは冒険者ギルドに行って、未消化の高ランクの依頼を
まぁ、運良く熟練のSランク冒険者パーティがいればいいんだけれど、王都とはいえタイミングが悪い時もある。
それに、そういった依頼を消化していくのも、聖が自由に動ける条件の1つだし。
本人は戦いを強要されないだけましー、とは言ってたけれどね。
いやもう、ほんと小学生を召喚してごめん、て話だ。
あの召喚陣、ミスってたんじゃないの??って感じー。
買い出しは朝市から始まって、市場に商会、地方直売店を見て回るので一日がかりだ。
食材を吟味したりするので、1人の方が楽ではある。
聖とメルトからはしっかりと紙一面に【食べたいものリスト】を貰ったので、それを見て買うものリストを作成した。
「おばさん、そのジャガいいね。大袋ごと3つちょうだい!」
「あらエルフの兄さん。いい買いっぷりだね!もっと買うならこの小さいやつも袋ごとおまけしたげるよ!」
朝市で早々に旬のジャガを発見。
大ぶりで皮ごと食べられるので大好きなんだよね。
大体10kgくらいを麻袋に入れてあって、籠に入れ直して一山いくらで売っている。
おばさんがおまけとして見せてくれたのは、1口サイズの小さなジャガ。
これを丸ごとあげて、塩とバター、ハーブを掛けたものは2人のおやつになるので是非とも欲しい。
「その小さいの、良かったら全部買うけど?」
「ん?いいのかい?大袋1つあるけど」
「うちの子が好きなんだよ」
「そうかいそうかい。ならこっちをおまけだ」
そう言っておばさんがくれたのはアプリルだった。
赤くない黄色いヤツ。
「あれ?珍しいね。黄色いヤツなんて」
「そうだろう?アタシはここから西に一日半ほど行った農村地帯にある村から来てるんだけど、そこの特産品なんだよ。昔から黄色のアプリルを食べてたから赤いのが主流だって聞いてびっくりしたもんさ」
「へぇー。僕の故郷でも黄色いのはあったよ。多分、連れの故郷でも黄色いのはあったはず」
「なら二山持っておいき。お連れさんと食べな」
「ありがとう。そうするよ」
そして、ジャガは大袋1つで銀貨2枚、小さいのは銀貨1枚とおまけしてもらい、品物を
いい買い物をしたな。
そして朝市を満遍なく2往復位して、めぼしいものは全部買ってきた。
干物や魚を扱っていた店舗があったのは有難いね。
聞いたら時間経過減少の魔法鞄に氷に付けて、ここから2日ほどの港町から来てるようで、親子でやって来たという。
息子さんが生活魔法からの派生で氷魔法を取得したので、毎日氷を替えてるからこそ遠出が可能になったんだって。
こっそり息子さんを【鑑定】してみたら、魔法適正があり、魔力量も高めだった。
修行すればそこそこのランクの魔法も使えそうだ。
それとなく、神殿で鑑定してもらっては?と言ったけれど、息子さんは今の暮らしが1番なのと、お嫁さんと娘さんが居るので無理はできないと笑ってた。
こっそりと息子さんに【
今の魔力量でも使えるから、家族に何かあったら使いなさいね、と。
これは僕のお手製
息子さん、大喜びで少し小さな赤魚を5匹くれた。
こっちの方がありがたいです!
煮付けにします!
「あれ?酪農品?」
往復した時には無かった朝市の端の方に、その店はあった。
「あ、お客様ですか?すみません、途中でトラブルがあって遅れてしまったんですよ」
「車輪が外れそうになってて、慌てて整備したんだけど、やっぱり出遅れちゃったね」
と、店主だろう父親が説明していると、横から12歳くらいの娘さんがひょっこりと顔を出した。
「ひゃー。お客さん、エルフ?すごい背が高いって本当だったんだあ!」
と、僕を見上げてはしゃいでいたんだけど首が痛くなりそうだったから、しゃがんで目線を合わせてあげた。
「そうだよー。エルフを見るのは初めてなのかな?」
「うん!今日初めて売り場にきたの!」
「こら、セラル。お客様に失礼ですよ。すみません」
「いえいえ、構いませんよ。ちょうどミルクとか加工品が欲しかったんだけど、セラルちゃん、なにかオススメはあるかな?」
と、セラルちゃんに聞いたらとてもいい笑顔でこう言った。
「ぜんぶ!」
「だろうね!」
父親のロナウドさんが大慌てて商品を並べていて、開店にはまだかかりそうだったから、セラルちゃんにクッキーを5枚ほど渡しておしゃべりに付き合って貰うことにした。
見ればもう1人従業員がいるから、大丈夫なはず。
「セラルちゃんのとこはどんなの扱っているの?」
「えーとね。ミルク、チーズ、ハム、腸詰、燻製肉とかかな。あとはお母さんや皆が焼いたビスケットとかパン!」
「ミルクは生物だけど、持ってくる時にどうしてるのかな」
「お家で冷やしてから持ってくるよ。大きな冷蔵庫があるの」
てことはそこそこ大きな牧場の持ち主かな。
品質管理も良さそうだから、大人買い、いっちゃいましょうかね!
「お待たせ致しました。とは言っても朝市はあと30分程で終わっちゃうんですけどね⋯⋯。ゆっくり見てってください」
まぁね。朝市はの6時~9時くらいまでだからね⋯⋯。
周りも片付けしてたりするし⋯⋯。
「ミルクはありますか?」
「はい、こちらの大中サイズの瓶がございます。大は銀貨1枚、中は銅貨5枚です」
大瓶は10L、中瓶は5L位の大きさだ。
「安くない?」
「⋯⋯時間が時間ですので⋯⋯。日持ちのする加工品以外は通常の3割引でご提供させて頂きます」
ですよね。
売れ残ってもミルクは明日に持ち越しても同じような値段で売ることになりそうだし⋯⋯。
「ミルク、全部貰っても?」
「いいのですか?」
「使いますんで⋯⋯。それにほら」
と、僕は魔法鞄からキャベッジを3個取り出した。
「容量はそこそこですが、時間経過は無いので大丈夫なんです」
まぁ、容量無制限なんですけどね。
「わかりました、勉強させてもらいますね。今在庫を出します」
「お兄ちゃん、凄いねその鞄!」
「マジックバッグって言うんだよ。商人さんとか冒険者がよく持ってるよ」
「冒険者!お兄ちゃんは冒険者なの?うちでもたまーにゴブリンとか狼とかをやっつけてもらうために、冒険者の人とかくるよ!」
「そうだよー。また旅に出るから、そのためのご飯の材料を買いに来てるの。そういった討伐系のお仕事もうけたりするよー」
「へえー!何討伐したの?」
最近だと何討伐したっけか。
⋯⋯盗賊だったかな?
うん、生々しいからだめー。
「お肉ダンジョンってしってる?」
「知ってる!お肉しかでないとこ!」
「お隣の国でお肉ダンジョンいったよ。お肉たくさん手に入れたよ」
「コッコやシャーフ、ディアーやカウ、ボア以外のお肉もあるって本当?」
「ほんとだよ。ええと⋯⋯これかな。これは蛇の肉。あっさりしたコッコ肉に似てるかなぁ」
「へー。白めのお肉なんだねぇ」
セラルちゃんと話していたら、ロナウドさんから声がかかった。
「お客様、こちらです」
「はい。ではこれが代金です。まずはミルク代だけ、払いますね。あと何があるのか見せてもらっても?」
「はい!こちらです」
と、そんなこんなで僕はよい買い物が出来た。
ついでに蛇の肉はたくさんあったから、セラルちゃんにあげた。
唐揚げにして根菜と一緒に甘辛く炒めると美味しいよ、と伝えて。
セラルちゃんのお母さんは料理上手らしいので、それで解るだろう。
お店の3人に手を振ってその場を去ると、次は市場や商店の時間だ。
朝市は少し遠くからの店舗、市場は近場や国政事業などの安定供給が出来る店で構成されている。
さて、第2ラウンドいきますかね!
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