第45話✤寒いのはノーサンキューなのです。
※五大王国関連のお話と近況に絵姿をアップしてます。
◆◇◆
アイスダンジョンは割かし人気のないダンジョンの1つだった。
そんな事言ったらマグマダンジョンもなんだけどね。
両方の共通点はもうお解りの通り、状態変化無効のホット/クールポーションを飲まないと潜れない所だ。
しかも、そのポーションの持ち込み数に寄って、行ける階層が決まってくるのだ。
セーフティエリアは快適空間なんだけどね。
それ以外が過酷な環境すぎて、イマイチ来る人が居ないんだよね。
その分、ここでしか取れない素材やドロップ品は高値で取引される。
アイスダンジョンの場合、暑さ耐性の武具を作る以外でも、冷凍庫や冷蔵庫、冷風機など、生活に密着した魔道具が作れるので、いつでも在庫は欲しい所なのだ。
マグマダンジョンも同じく、寒さ耐性武具以外は、コタツや暖か毛布などの寝具、温蔵庫などの魔道具になる。
行く人が少ないから高騰し始めているんだよねぇ。
「まぁ、俺らには関係ないけどな!」
「まぁねー!」
「ある意味無敵だよな、
「母のおかげで快適ー!」
「……有難いのですが、コレジャナイ感がありますわね……」
「姉上、諦めましょう……。聖様達が居る時点で、僕らにマイナスになる環境になる訳がないのです……」
「他の冒険者さん達に申し訳ない気持ちしかないんですけれど……?」
とかなんとか言ってますけどね? 護衛対象が安心かつ快適になってなくてどうするんですかと。
僕の状態変化無効と温冷遮蔽魔法のおかげで、ちょっと寒いかな?1枚着れば大丈夫かな?程度にはなっているのです。
普段はやらないけどね。
アイスダンジョンだからやるんだからね。
「とりあえず、1匹引っ張ってみるけど、ミルッヒちゃんとラクト君は行けそう?」
と、聖が聞けば、2人はこくりと頷いた。
それぞれの武器を取り出して、構える。
「【
前衛職なら必須とも言えるヘイト系の志向型挑発スキルをそこらに居たアイスゴーレムにぶつけると、アイスゴーレムは聖目指して一直線に向かってきた。
【
なので他のメンバーが攻撃してても、滅多なことではターゲットは外れない。
でも、デメリットとして憤怒状態になるから、攻撃力と防御力が2割程度上がるんだよね。
「2人とも、今だよ!」
「「はいっ!!」」
まずはラクト君が高速詠唱で
そこにミルッヒちゃんが斬りこみ、破損部分に刃を突き立て、気合いとともに一閃する。
するとアイスゴーレムは形を崩しながら倒れた。
「おお?アイスゴーレムは余裕か?」
「凄いな2人とも」
聖とクレイ殿下が2人を褒めると、2人ははにかんだ。
「枢様の強化魔法もありましたし、聖様も注意してて下さいましたので……」
「僕は安全圏からでしたから……」
「それでも凄い事なんだぞ?アイスゴーレムといえば一撃が重いから、盾役が居るんだ」
「その分、動きは遅いんだけどね。食らうと痛い」
「次はメルトと3人でやってみるか?メルトは魔法をメインにしているが、
「はーい!メルトもやりたいです!」
あっちはいざとなれば回復魔法もできるメルトと聖もいるから、こちらはこちらで遊んでようかな。
「マルさん。僕らでラドさん用冷凍庫の素材取りに行きましょうか。あの辺、固まっているのを一掃すれば1個位どれか落ちるんじゃないかな?」
氷の心臓も氷の板も、レアドロップなので数をこなさないとね!
「枢様、私にはアイスゴーレムが15体は居るように思えるのですが……」
「なんで敬語??マルさんのランクなら大丈夫。僕が補助すればメルトでも行けるよ?」
「メルトちゃん、確実に僕よりランク高そうなんですけど??」
マルさんがしり込みしているから、問答無用でアイスゴーレムの群れに範囲魔法をぶち込んでみた。
「枢さん!!!!!!」
「マルさんならもっと強くなれる!やれば出来る!力が欲しいよな!!!」
「レベルアップの押し付けやめて!!!!」
はいこれ、とマルさんに渡したの
刃の部分に高熱を発生させる魔鉱石が使われていて、持ち手にも火属性魔石が3個嵌め込まれている。
お察しの通り、聖が趣味で過剰精錬と拡張エンチャントをした産物だ。
不良在庫のフォルダに入ってたから、マルさんに上げちゃおう。
「これ確実に
凄いやマルさん!
喋りながらも次々とアイスゴーレムを捌いていくとか、さすが食材の鬼!
「【
バフ盛りフルセットをパーティ全体に掛け、それぞれの簡易ステータスを全表示させる。
7枚の簡易ステータスモニターを視界の端に設定して、体力と魔力と状態だけ気をつけて入ればOK。
え?気力?無くなるまでが遠足ですよ?
「枢さんの鬼ー!!!」
いやいや、鬼は貴方でしょう?
アイスゴーレム15体倒したらレベルが上がったし、なんかさっき色違いも倒してましたよね?
「ドロップどうでしたー?」
「ありましたよ!氷の心臓1個!!」
結構渋いな?
ならあと数回繰り返せばいいだけか。
「聖さん!枢さんが鬼です!」
「いや、鬼はおまえじゃないか?枢の教育について行くのって、俺でもたまに嫌になるんだぞ?」
「えっ?」
「マルさん、メルトも父に同意する」
「えっ?」
「マルシル、私はメルトさんとラクトと3人で2体が限度でしたのよ……?」
「そうですよ!自信を持ってください!自分が鬼だと!」
「……えっ?」
みんなにそう諭されたマルさんは、ゆっくりと僕を見た。
僕はとてもいい笑顔を浮かべ、無言でサムズアップをするだけだった。
「ありえないんですけど!!!」
アイスダンジョンに、マルさんの叫びが響いた。
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