ホーリーナイト~王国騎士幹部候補生学校物語~
ぽりまー
第1話 出発
僕がまだ6歳の頃に見た、王国騎士団のパレード。煌びやかな軍服を着こなして先頭を歩く指揮官、そしてその後ろを、白銀に輝いた鎧を身につけて、横から見ても寸分のずれなく行進する騎士たち。
僕はそんな騎士たちがとってもかっこよく見えた。
パレードの後、僕は父さんに今日見たことをたくさん語った。父さんは凄く楽しそうに聞いてくれた。そして僕が全部喋った後、父さんはこう言ってくれたんだ。
「そんなに好きなら、大きくなったら王国騎士になるか!」
僕にとって、その言葉が大きな原動力となった。やっぱり、今思ってもこの経験が無ければ僕は王国騎士になっていなかったかも知れない。
僕はアレン、15歳。アダマス王国の東側にある小さな町の農民の息子だ。
「アレン! ちょっとこっち手伝ってくれ」
この人は僕の父さん。農作業のおかげでとてもガタイがよく、とても優しい自慢の父さんだ。
「わかった!」
「2人とも、お昼ができたわよー」
こっちは母さん。いつもニコニコしてて優しい、こっちも自慢の母さんだ。
「お、もうそんな時間か。アレン、飯にするぞ」
「わかったー」
僕と父さんは手を洗い、食卓を囲む。母さんのご飯はいつも美味しい。
「お前も明日出発なんだから、しっかり母さんのご飯を楽しめよ」
「そうねえ。まさかアレンが騎士幹に受かっちゃうなんて」
僕は小さい頃からの夢だった王国騎士団に入るために、勉強して王国騎士幹部候補生学校を目指し、晴れて合格したのだ。入校日は明後日だが、馬車で結構かかるので明日出発なのだ。
「まあ、結構頑張ったからね。やっぱり難しかったけど、父さんが体を鍛えてくれて、母さんが支えてくれたからできたんだよ。ありがとう」
「お、お前ってやつは……」
「アレン……」
ここで騎士幹について解説しておくと、文字通り王国騎士団の幹部を育成する学校で、4年通う。ここでは騎士としての訓練はもちろん、教養もしっかり学び、幹部としての資質を育成する学校だ。
「父さん、母さん、僕立派な騎士になるよ」
そしてこの日は家の手伝いと、しばらく会えないので実家のくつろぎを楽しんだ。
そして出発日。
「行ってくる」
「おう、きぃつけろよ!」
「頑張ってきてね!」
父さんと母さんが温かく送り出してくれて、僕は騎士幹がある王都へ出発した。
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