第107話 女子テニス部の復活
私、四条院明日香。女子テニス部の復活に男子部員の反対が無いどころか好意的に受け取られているという事を知った私は、女子テニス同好会の子達にも気持ちを聞いた。
始めそんな事出来るのかと疑いの目で見られたが、男子テニス部も好意的に受け取っていると教えると意外な顔をしていたが、とにかく復活には同意してくれた。
そこで私は取敢えず担任である白鳥麗子先生に聞いてみる事にした。
授業が終わった放課後、職員室に行きドアを開けると中にいた先生達の視線が
私に集中した。先生達が物珍し気に私を見ている。
まあ確かに普段会わないから仕方ない。白鳥先生が何処にいるかキョロキョロ入り口で見ていると
「四条院さん、何か用?」
声を掛けてくれた。
「白鳥先生、お話が有るのですけどどこかで話す事は出来ないでしょうか?」
「何?恋愛の相談なら乗るわよ」
この先生頭がお花畑か?
「いえ、違います。女子テニス部の復活についてです」
「えっ?!」
白鳥先生の声に近くの先生達が反応したけど
「ちょ、ちょっと四条院さん何言うの。ちょっとこっちに来て」
連れて行かれたのは職員室の隣にある会議室。
「四条院さん、どういう事か分かるように説明して欲しいんだけど」
「はい」
まずは、自分が前の学園でテニスをしていた事。そして立花玲子も一緒であった事。南部和人から聞いた女子テニス同好会への気持ち、女子テニス同好会の子達の気持ちを話した。その上で
「女子テニス部を復活させるのに何か問題ありますか?」
「うーん。問題あるというか、事が大きかった事と今の校長、教頭も含め関係者全員が処分された事で、先生達の間では女子テニス部は結構トラウマになっているわ。
復活に支障が有る無いというより先生達の気持ちの問題で復活は難しいんじゃないかな」
「なんですかそれ。先生達は生徒の健全な精神育成にも責任ありますよね。それを前の件がトラウマだからって復活を阻害する事していいんですか!」
「ちょっと、そんなに興奮しないでよ。とにかく難しいわ」
「分かりました。教育委員会に掛け合います」
「きょ、教育委員会!だ、駄目よ駄目駄目」
そんな事されたら、また同じ事が起こるかもしれない。私だって生徒の意見を無視したって事で処分されたら経歴に傷つく。
「分かったわ。とにかく教頭や校長に相談するから。少し待って」
「白鳥先生、引き延ばしは駄目ですよ。一週間待ちます。返事ください」
「いっ、一週間。…分かったわ。しかし、今の子は怖いわね。担任を脅すなんて」
「脅してはいません。お願いをしているだけです」
「…………」
私は、家に帰ってから玲子に電話して白鳥先生と話した内容を伝えた。
「まったく、明日香は強行ね。もう少し柔らかく言えなかったの。それでは私でも先生を脅した様に聞こえるけど?」
「ふふっ、いいじゃない。それより一週間後、返事聞くから玲子も手伝ってよ」
「何をですか?」
「クラブを復活させる為には、学校だけじゃ済まないでしょ。その辺をお願いしたいの。立花の力なら簡単でしょ。後クラブ員勧誘も」
「何を言っているんですか。私は何も手伝わないと言ったはずです。自分でやりなさい」
「玲子。お願い!」
「…仕方ないです。学校外の組織的な所だけですよ。勧誘は自分で考えてやって」
「ふふっ、流石玲子様。ありがとう」
「まったく。塾はどうするの。そんな事して塾に行く時間あるの?」
「塾は行くわ。そっちの方が面白そうだもの」
それから一週間後、私は白鳥先生に呼ばれた。例の会議室で
「職員会議に掛けたわ。最初校長始め教頭や他の先生の反対が多かったけど、二回目の職員会議の時、何故か反対に回った先生達が賛成した。結果は女子テニス同好会を部に格上げ。四条院さん何かしたの?」
「私は何もしていません」
さすが、玲子ね。
「問題は顧問と部員よ。顧問は言い出しっぺの私がさせられることになった。私はテニスなんか知らないわよ。出来るのは同好会から部への昇格手続き位。
どうすれは顧問出来るのか全く分からないわ。四条院さん責任取ってよね。それに今二年生三人しかいないわよね。どうするの?」
「顧問の仕事は男子テニス部の顧問の先生に聞けばいいじゃないですか。部員は何とかします」
「冗談じゃないわ、あんな男」
「あんな男?」
「いえ、何でもないわ。とにかく顧問の仕事は四条院さん、あなたが私に教える事、出来なければ、顧問無しで同好会に格下げよ」
この先生の恨みかったかな?まあ、どうにかなるか。
家に帰ると早速玲子に電話した。
「玲子、ありがとう。上手くやってくれたみたいね」
「何の事?私は何もしていないわよ。と言う訳にはいかないから少し根回しをお父様にお願いしただけ」
「ふふっ、それで十分よ」
「ところで部員はどうするの。あと同好会から部への昇格の発表はいつなの」
「明日、掲示板に表示される。部員募集中って文言入れて貰う事にした」
「まったく、またそんな事頼んで」
「良いじゃない、白鳥先生が顧問なら皆喜ぶわ」
「そんな事無いと思うけど…」
私は次の朝、達也達いつもの五人で下駄箱に行くと掲示板の前で人だかりが出来ていた。
「女子テニス部復活かよ」
「すげえな。あんな事あってまだ一年ちょっとなのに」
「でもこれで女子テニス見れるな」
「いやね男子は。でも部の復活は私も賛成。同好会の子達可哀想だったもの」
「そうそう。私入ろうかな」
「えっ、なら私も」
「おい、顧問白鳥麗子先生だぜ」
「うーん、男子テニス部入るか?」
「良いかも」
ふふっ、取敢えずいいスタートみたいね。後は部員集め。
昼休み、昼食を皆で食べながら
「玲子、ご飯食べた後、南部君の所に行きたいんだけど一緒に来て」
「仕方ないですね。今回だけですよ」
私本宮涼子。本音言うと女子テニス部の復活はあまり嬉しくない。嫌な事を思い出すきっかけになる。でも反面同好会の子達には悪かったと思っている。難しい。
しかし四条院さんこんなに早く復活させるなんて。色々と動いたのだろうけどサラリーマン家庭の私の家では想像もつかないわ。この後どうするんだろう。
――――――
しかし、四条院さんの行動力呆れます。この後どうなりますやら。
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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