第43話 立花さんの別荘で その二


前話より更に長めで。


――――――


ガチャ。


「達也さん」


 えっ、玲子さん?


「あっ、バルコニーにいらしていたんですね」

 彼女がそのままバルコニー出て来た。ピンクのTシャツに白い短パンだ。胸が思い切り強調されて色白の真直ぐな足を出している。これはちょっと。


 俺は海を見る振りをして彼女から顔を背けながら

「あっ、カギ閉めて無かった?」

「はい、でもおかげで私は入って来れました。いかがですかここは」


「とってもいい所ですね」

「そう言って頂けると嬉しいです」

 そう言いながらリクライニングシートに座っている俺の目の前にやって来た。真っ白い足が眩しい。



「玲子さん、リクライニングシート、横にもありますけど」

「はい、でもここで立っていても宜しいですか」

「あの、ちょっと海が見えなくて」

「これは失礼しました。私もそこに座ります」

 逃げられましたか。もっと私をアピールしたかったのですが。



 少し海を見ながら今日の水族館の話をしていると部屋に付いている電話に連絡が入った。玲子さんが出ると

「達也さん、夕食の支度が出来たようです。ダイニングに行きましょうか」

「はい」




 夕飯は海の幸がテーブルの上に沢山乗っていた。夕食を取りながら

「達也さん、明日は下にある浜辺ではなく、我家のプライベートビーチに行きましょう」

「プライベートビーチですか?」

「はい、シーズン以外は開放されていますが、八月の一か月間の間、一般の方は立ち入れない海岸です」

「そうですか」

 凄いものだな。うちはそこまで持っていない。


 食事が終わると、リビングで少し話してから部屋に戻った。



 翌朝、特に目覚ましも掛けなかったが午前七時に目が覚めた。顔を洗ってバルコニーでのんびりしていると部屋の電話が鳴った。朝食が出来たらしい。



 朝食を取り終わると

「達也さん、玄関に午前九時で宜しいですか?」

「はい」



 部屋に戻ると後三十分位ある。海水パンツに履き替えてラッシュガードと目の保護用にとサングラスを持って来ていたが、これを付けると流石に悪いだろう。一応小物入れに入れて置く事にした。

 

 玄関に行くとラッシュガードを着てかかと付のビーチサンダルを履いた玲子さんが待っていた。水色のビキニだ。胸の谷間が思い切り強調されている。足は白く真直ぐだ。


「さっ、行きましょうか」



 俺達が歩き始めると運転をしていた男の人と三十代くらいの女性の人が付いてくる。俺がちょっとだけ不思議そうな顔をすると


「沖田とお手伝いの方です。沖田は私のセキュリティガードもしてくれています。でも二人は私達がビーチに居る時は、居ませんのでご心配なく」

「…………」

 どう考えればいいんだ。今の言葉?



 海岸に着くと真っ白な浜辺と左に岩場が有った。確かに人が入った形跡がない。浜辺にはパラソルとその下にシート、ローテーブルそして二つのリクライニングベッドが置いてある。浮輪も置いてある。この人泳げないのかな?

 今日は風も無いので最高だ。シートの側に着くと



「達也さん、早速ですが、海に入りません?」

「ええ、良いですけど」



 彼女は何故かラッシュガードを脱いだ。普通体の為に着ているだろうに。でもしっかりと見てしまった。

ビキニからはみ出しそうな大きな胸、ぜい肉の無い体、括れた腰、大きいが締まったお尻、曲がりの無い綺麗な足。その辺のモデルとはレベルが違う。つい見ていると


「ふふっ、達也さん、そんなに見られると恥ずかしいです」

「あっ、済みません」

「いいえ、いいのです。もし達也さんがどうしてもと言うならいつでも心の準備は出来ております」

「えっ!」

 俺は流石に下を向いてしまった。



 ふふっ、シャイな方。私はもういつでも良いのですよ達也さん。でも達也さんのお体凄いです。

全くぜい肉の無い体。腹筋は綺麗に割れ、腕や足腰は筋肉の塊みたいです。でもボディビルダーの様な見せる筋肉ではなく使っている筋肉というのが良く分かります。



「さあ、海に入りましょう」

 あれ、この人浮輪持って行かないよ。なんであるのこの浮輪。


 二人で足から浸かると結構暖かかった。腰辺りまでつかると

「達也さん、泳ぎますか」

「ええ」


 少しだけ泳いだ。彼女はそれほど上手くはないが前には進める程度だ。あれそのまま俺の側に来て

「達也さん」


 抱き着いて来たよ。俺の鳩尾辺りに思い切り柔らか物が二つ押しつぶされている。何か最近このシチュエーション多すぎ。


「玲子さん」

「少しだけ、このままで」

 達也さんの体、凄いです。私いけない想像してしまいそうです。


「あの玲子さん、そろそろ」

「もう少し」

 この人見た目と違う。こういう事しない人だと思っていたのに。不味いちょっと不味い。


「あの玲子さんもう離れて貰えますか」

「えっ、あっ」

 何か私の下半身に…。


達也さんから離れると彼が直ぐに背中を向けた。

「れ、玲子さん。ちょっと今のは」

「ふふっ、分かりました。また今度にしましょう」

 達也さん、女性の体を知っている割には恥ずかしがり屋さんですね。



 三十分程、海の中で遊んだ後、パラソルの下に戻った。何故かラッシュガードを着ている。まさかあれが目的で……。



 その後、景色の事やお互いの小さい頃の事話した。まあ目的がこれだからな。流石に眩しいのでサングラスを付けると

「達也さん、素敵です」

 俺サングラスしてそんな事言われたの初めてなんだけど?



 また海に入っている間に用意されたのか、BBQのセットがパラソルの側に用意されていて、アワビ、サザエ、伊勢海老、ハマグリ、岩ガキなどが焼かれていた。

 飲み物はウォーターサーバやジュースクーラーが並んでいる。いつ持って来たんだ。これ?


「達也さんいい匂いがして来ました。お昼にしましょうか」

 彼女が言うと金属プレートに乗せられた焼いた海の幸がテーブルの上に置かれた。凄いなこれは。

「さっ、食べましょう」

「はい」



 しかし、この人お嬢様だな。瞳とは海に来ても自分達で全て行う。まあ、家それぞれか。

「達也さん、私も普段焼く事もしますよ。今日はあなたと一緒なので焼いて貰っているだけです」

 まだ外部表示機能壊れていないのかよ。




 昼食後、少し休みながらまた色々話した。小さい頃は稽古事などで厳しく育てられたらしい事も。


 もう一度だけ一緒に海に入った。何故かこの時だけラッシュガードを脱いでいる。明らかに意図的だな。


 午後二時半位になると沖田という人が

「お嬢様、そろそろ」

「分かりました。達也さん、そろそろ別荘に戻りましょうか。せっかく水着を着ているので露天風呂に二人で入りましょう」

「えっ?」


「驚かないで下さい。もういいでしょう」

 どう答えりゃいいんだ。




別荘に戻り、二人だけで屋外の温泉風呂(露天風呂)に水着を着て入った。

「達也さん。少しだけ一緒に」

「えっ?」



 また体を付けて来た。この人ほんとに…。

「達也さんだけです。あなたに私を知って貰いたいんです。全てを」

 参った。加奈子さんの約束は絶対守らないと。


 景色を見ながらなるべく並ぶようにして入って、それでもくっ付いて来たけど三十分位で露天風呂から出る事が出来た。俺のメンタルはほとんど破壊されている。何とかしないと。




 部屋で体を洗いシャワーだけ浴びて、またバルコニーのリクライニングシートでゆっくりしていると玲子さんが入って来た。おかしいな?鍵かけているんだけど。



 私立花玲子。今日は何としても達也さんに…。本来の目的はそれなんだから。そうすれば私が許嫁として彼の横に立てる準備が整う。

 彼は想像以上の男の人。強さも優しさもそして芯が強い事も。もう誰にも譲る気はない。三頭さんにも桐谷さんにも。



 夕食も済み、リビングで少し話した後、私達は部屋に戻った。でもこれから。私はもう一度シャワーを浴びた。

シャンプーもし直した。髪の毛も櫛を何回も通して、少しだけ薄くお化粧して。



 コンコン。



 彼がドアを開けてくれた。

「どうしたんですか。玲子さん」

「達也さん、お部屋に入らせて頂けますか?」

「それは構いませんが」



 私は、彼の部屋に入ると彼の体に抱き着いた。彼は私を離そうとしない。

「達也さん、私…」

「…………」

「お願いします」



 彼は私の肩に優しく手を置くとゆっくりと私の体を離した。


「玲子さん、急ぐことはないです。あなたの気持ちは今日の態度で良く分かりました。

 もちろん俺も男です。あなたを抱きたいという気持ちはあります。

でもまだ、俺はあなたを抱く責任、心の準備が出来ていないんです。高校の間、あなたを大切にします。だから待って下さい」


「でも…」

「雰囲気で流されたくありません。あなたを抱く時は、しっかりと心の中でもあなたを妻として迎える気持ちが出来た時です。だから待って下さい」


「…分かりました。でも私、ここに来るまで…、本当に本当に勇気を振り絞って来たんです。だから…せめて一緒にベッドの中で寝てはいけませんか」

「……駄目です」

「お願いします」


 玲子さんの目に涙が溜まっている。俺どうすれば。もし添い寝して本当に彼女に手を出さない自信が有るのか。


「達也さん」

「…分かりました。添い寝だけですよ」

「はい!」


 ふふっ、何とかなりそうです。



 午後十時、彼と一緒にベッドに入った。我儘を言って彼に腕枕をして貰っている。私は彼の胸に手を回して体を彼の体に付けている。こうすれば…。


スーッ、スーッ。


 えっ、本当に寝てしまったの。

「達也さん?」


スーッ、スーッ。


「もう、ここまで出来たのに。仕方ない人です。これ私のファーストキスですよ」

 彼の唇に少しだけ私の唇を合わせた。




 それから一時間後。

「玲子さん。寝たか。こっちは眠れないよ。今日は厳しい夜になりそうだ。でもファーストキス。起きている時にすればいいのに」




 翌朝午前六時目が覚めたというよりあまり寝ていない。俺の右腕の上には、本当に綺麗な女性が寝ている。俺の体に思い切り体を付けて。

 参ったなあ。でもここまで覚悟してくれているならこの人とは真剣に向き合わないと。


「あっ、達也さん」

「おはようございます玲子さん」

「わ、私」

 えっ、思い切り抱き着いて来た。


 ふふっ、達也さんの匂いが一杯。思い切り抱き着こう。抱いてくれなかったんだから。

「れ、玲子さん」

「駄目です。もう少しこうして居ます。私が覚悟決めたのに、あなたが抱いてくれないから…」

「うわっ」

 俺の体の上に乗って来た。


「玲子さん?」

「ふふっ、今からでも良いですよ。達也さん。私の体は達也さんの物ですから」

 おーい、誰かー。俺のあれを大人しくさせてくれー!


 結局一時間位、玲子さん俺の上で二度寝してから降りてくれた。ほとんど彼女のバスローブは開けて素肌が綺麗に見えている。


「達也さん、昨日は抱いて頂けませんでしたけど、この体忘れないで下さいね」

「うわっ!」

 玲子さん、俺の前で全部脱いじゃったよ。


「ふふっ、今度ですよ。今度は必ずお願いします」

「は、はい」

 俺は玲子さんが部屋を出て行ってから二十分以上葛藤の時間を過ごした。


――――――


 玲子さん積極的です。

ヒョウかな?トラかな?それともライオン?


次回をお楽しみに


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


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