第9話.つらいことをやって生きていくのは止めよう

 人生の時間は限られている。


 しかも一度きりで、いつ終わるかわからない。


 ならば、なるべくその時間の中でつらいことを減らし、楽しいことが占める割合を増やすこと、それが人生を充実させることに繋がるのだと思う。


 もし仮に嫌でつらいこと、向いてなくて苦痛なことを仕事にしていたとしよう。


 大体、人生の三分の一は仕事に費やすそうだ。


 人生もエッセイ第一話の創作物と同じく、四つのパターンに分類できると思う。


 Aつらくないことをやって収入が高い

 Bつらくないことをやって収入が低い

 Cつらいことをやって収入が高い

 Dつらいことをやって収入が低い


 まず、なんと言っても避けたいのはDのパターンだ。


 つらいことをやってる上に収入が低いなど、社会的な拷問以外のなにものでもない。


 勿論、目指すのは最良のAだが、これが難しいとなればBかCの選択になるのではないか。


 しかしなによりお金が好きという人以外は、つらいことで得た収入というのは、結局、ストレス解消の為に浪費してしまい、お金も貯まらないようだ。


 これではCのパターンでも、使っても簡単には尽きないぐらいの、よほど収入が高くない限り人生は虚しいものになるだろう。


 だがCやDのパターンにありながらも「仕事はつらいもの、大変なもの」「給料は我慢料」といういかにも正論っぽい教訓めいた慰めの呪縛のせいで、動けなくなっている人が世の中には多いのではなかろうか。


 でもこれらは嘘である。


 なぜならなんの根拠もない。


 ちょっと落ち着いて考えたら誰もわかる簡単なことで、つらくないことで稼いだ一万円も、つらいことで稼いだ一万円も価値は同じだからだ。


 それに、確かにどんなに好きなことを仕事にしている人でも、色々と苦労は必ずある。


 ただし、嫌なことから発生する苦労とは、乗り越えようとするモチベーションが全く違うだろう。


 大抵は、つらい場所に残ってる者が抜け出せない自分を否定された気になる、相手が辞めて自分はつらい思いをし続けるのが許せないなど、こんな自分本位な理由からだ。


 しかも、その人達はこちらが耐える代償として人生を良くしてくれるというわけでもない。


 冷静になれば気にする言葉ではないようだ。


 また、目指す最良のAパターンの為には、まずは前提につらくないことをしなくてはならない。


 なので、Aになり得る可能性が高いのはCよりBということになる。


 収入が低くても自分に向いていることをやっている方が、人生において自己肯定感も高まるし、精神衛生上、良いのではないかと思う。


 誰しもつらいことをやって生きていく必要はない。


 どうやら一度きりの人生、妥協してはいけないようだ。


 気づいた今、自分にも言い聞かせる。

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