第2話 魔王の烙印
《封印フェーズ》
《SCORE:20》
《KILL:人間(低級)×2》
《SCORE精算フェーズ》
《SCORE:20>覚醒値:2》
《学習無し》
《覚醒フェーズ》
《覚醒、開始》
───────────────────────────
集落襲撃後、スケルトンは1日後に封印から覚醒した。
スケルトンはまた歩き出す。また集落を襲撃するために。
集落に到着すると、前回より警備が厳しくなっていた。集落の入り口に昨日はいなかった見張りが二人いた。
ただスケルトンはそんな見張りにも臆せずに立ち向かう。
だが、そんな行動は当然ながら集落の警鐘を鳴らすことになる。
「魔物だぁー! 魔物がきたぞー! 絶対に中に入れるなぁーっ!」
例えスケルトン一体でも容赦はしない。世間一般ではスケルトンが魔物の中で最弱とい言われているが、すでにこの集落では二人の親子が殺されているからだ。
「カタカタ」
スケルトンはその警鐘に呼応するように槍を構えて一直線に突進を仕掛ける。
だが相手は二人。スケルトンの突進は容易に回避され、避けた所を空かず攻撃。二度目のスケルトンの襲撃は失敗に終わった。
──────────────────
《封印フェーズ》
《SCORE:-》
《学習値:1》
《覚醒フェーズ》
《学習:『戦闘技術(低級)』》
《学習完了》
《覚醒、開始》
──────────────────
スケルトンはまた1日後に封印から覚醒した。スケルトンは覚醒後、どこか槍の扱いを慣れる感覚を覚える。
また集落の襲撃を始める。
「魔物だぁーっ! くそなんでこんな立て続けに襲ってくるんだ! だがまだ一体だ。全力で押し返せええぇ!」
集落の入り口に立つ見張りは同時にスケルトンに向かって突っ込む。
スケルトンもまた、それと同時に突進を仕掛ければ、槍の間合いに入った瞬間に急停止し、二人の見張りを槍で薙ぎ払う。
「ぐああっ! くそ、この程度で! 挟め! 両側からやるぞ! うおおぉ!」
だが、薙ぎ払っただけに殺害は出来ず。スケルトンは二人の見張りに前後で挟まれ、前と後ろから同時に攻撃されることで、なす術なく活動を停止する。
──────────────────
《封印フェーズ》
《SCORE:-》
《学習値:1》
《覚醒フェーズ》
《学習:『戦闘技術(低級)+1』
《学習完了》
《覚醒、開始》
──────────────────
スケルトンはまた1日後に封印から覚醒する。スケルトンは意識を取り戻す瞬間だけ、以前何故人間に勝てなかったかと、撃破される瞬間の光景が俯瞰視点でフラッシュバックする。
自分の視点ではなく、別の誰かがスケルトンの戦闘の一部始終を見ていたかのよつな光景。その光景に特にスケルトンは不思議に思うことなく、次にどうするべきかを学習するのだった。
そうスケルトンは集落の襲撃を始めるが、入り口の見張りは四人に増えていた。
「今日も来たか! くそ、最近なにがあったって言うんだ! 魔物なんて……」
集落の人間らは毎日襲ってくるスケルトンに疑問を抱き始めていた。
スケルトンが襲撃した集落は、周囲に他の村などがなく、あるとしても数十キロメートル離れた辺境の地であり、魔物の出没は周知されていたものの、一度撃退した魔物は暫く襲ってこないというのがこの集落の認識になっていた。
だから、毎日スケルトンが襲ってくることは、いつも通りでは無いことを集落の人間らは察していた。
しかし、だからといって対処法は無く、ただ襲ってくるスケルトンを迎え撃つことしか出来ずにいた。
「カタカタ」
「うおおぉ! 囲め囲めぇ!」
見張りはスケルトンの攻撃を待つことなく、すぐに四方を固める。
四方向から同時に攻撃すれば、どんな手慣れでも一方的に倒せると見ていた。
だがスケルトンはその場から動かず、槍を片手で持つと見張り四人の攻撃に合わせて、大きく回転することで、一斉に四人の攻撃を薙ぎ払う。
そこから空かずに地面に倒れた一人の見張りの元に向かい、槍で腹と地面を貫通する。
「ぐああああぁっ!!!?」
「カタタ!」
すぐに槍を引き抜けば、また突き刺す。それを残りの三人に妨害される前に三度繰り返し、しっかりと一人を殺害した。
「また、また殺された! 畜生おおおぉ!」
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《封印フェーズ》
《SCORE:10》
《KILL:人間(低級)×1》
《SCORE精算フェーズ》
《SCORE:10>覚醒値:3》
《学習値:2》
《覚醒フェーズ》
《学習:『戦闘技術(低級)+2』》
《学習完了》
《覚醒、開始》
──────────────────
スケルトンは1日後に封印から覚醒する。スケルトンはこの覚醒を続けることで、だんだんと魔王の烙印について理解していっていた。
人間ほどの知能も学習能力もないスケルトンは凡ゆることを理解することも難しいが、人間を殺害する度に、戦う度に、力が付いていることを実感していた。
だがだからといって、そこに歓喜の感情が芽生えることは無かった。
ただ魂から響く魔王の命令に従い、より効率的に人間を殺す方法を、回数を重ねるごとを理解するだけであった。
そんなところでスケルトンはこの集落の襲撃を攻略することはあと少しだろうとも考えていた。
その理由は集落の人間の装備や数が確実に減っているからである。
まだ集落全体の人間の総数は分からないが、人間とは一人一人が強くても、繁殖率は魔物を下回っている生物。
ほぼ毎日魔物が襲ってくる状況で、直ぐ増やすことは出来ない。
とそこまで詳しくは理解できていないが、そろそろ大詰めだろうとは考えていた。
「畜生! 毎日毎日一体なんなんだあの骸骨は! 俺たちが何かしたっていうのか!」
さらに人間らは毎日襲ってくるスケルトンに対して、より警備を厳重にするどころか、戦意を喪失し始めていた。
最初はスケルトンの動きに合わせて、何とか防いでいたが、ここの集落の人間らは特別に訓練されている者ではなく、極普通の辺境の地に住まう若輩者に過ぎない。
だから毎日襲撃もされれば、気は時間ともに滅入るのであった。
「カタカタ」
スケルトンは歯を鳴らし、攻撃を開始する。スケルトンが魔王の烙印によって無意識に習得している『戦闘技術(低級)+2』は、ここの集落の人間らを蹂躙するには充分だった。
敵の突進は薙ぎ払い、囲まれたら槍を振り回して牽制し、吹き飛ばしたら空かさずにとどめを刺す。
その動きは人間からみれば最早一般的に知るスケルトンの動きではなく、訓練された兵士の動きであった。
「この骸骨強えぞ! なんで昨日より強くなってんだよ!」
「うりゃああああっ! あっちに行け化け物おおおお!」
そう次々と人間を殺害するスケルトンはもう余裕だと考えた所に、大きな石がスケルトンの頭蓋骨を破壊した。
それは戦士では無い人間らの攻撃だった。
武器を持つ者が次々と殺される中で、遠くから怯えて固まっていた人間が、遠くから大型の石をスケルトンに向かって投げていた。
その光景は、上空から降ってくる流星群のようで、どう考えてもスケルトンには避けようが無かった。
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