あかさたないろは

柴又又

私のばぐったのーみそ。

第1話 ここからだけ見える



 昼休み、窓辺に座り肘をついて外を見ている。

 歪む窓、跳ねるみたいなウサギのダンス。

 轟轟と塞がれる耳――落ち着くような恐れるような、目を閉じてうつむいて、考えているのか微睡んでいるのかその間に囚われて。

 ゆり動く体は船を漕ぎ。

 本の匂いに混ざる。それは不快か好感か――この時間、この席からは彼女が見える。

 そっちの窓でもこっちの窓でもない。私のいるここから。

 振り向いて窓の向こうで佇む彼女を眺めていた。

 滲む絵具のような陰影は確かにそこにある。

 伸ばして触れた手の先は冷たく――この間(ま)の間(あいだ)でのみ会える。

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