夏の5題小説マラソン
武藤勇城
秘密基地と言えば
自分が生まれ育ったのは埼玉の片田舎。
土地だけは沢山あって、菜の花畑があったり、芝生が植えられていたり、
家のすぐ裏手の雑木林には虫や動物たちもいました。
春になれば庭で採れた菜の花のおひたしが食卓を彩り、
夏になれば雑木林でカブトムシやクワガタを捕まえ、
秋になれば枯葉や枯れ木を集めて焼き芋を作り、
冬になれば初雪にシロップをかけ雪合戦に興じる。
小学校の、何年生ぐらいだったでしょうか。
裏の雑木林の、そのまた少し先にも芝生の土地があって、
その境目あたりで、何やら工事が始まったのです。
半年経ったか1年か、建設工事が途中で中断されたようで、
組み上げられた鉄パイプには幕が張られ、様々な工具が取り残されました。
そのまま何年も放置された工事跡は、自分と友達の遊び場になっていました。
大きなハンマーを見付け、『聖剣』を発見したかのようにはしゃいだり、
裏庭で刈られた芝生や、雑木林の葉っぱなどを集めて敷物にしたり。
駄菓子とロウソクを持って、骨組みだけの工事跡に通っては、
暗くなるまで、その秘密基地で遊んでいたものです。
友達はコミック誌を持ち込んでいたかも知れません。
『カール』や『マシュマロ』をロウソクで炙って食べる、
といった変わった遊び?食べ方?もしました。
近年、子供が遊べる場所はほとんど無くなってしまいました。
公園でもボールを使ってはダメとか、あれはダメこれもダメと、
禁止事項ばかりが増え、出来る事が限られてしまっています。
そのせいか、家でゲームをする子供が増えているようですね。
庭を走り回って虫を取り、焚火をし、その辺の森の果実を取って食べる、
といった遊びを、今の子供は知らないのではないでしょうか。
春夏秋冬、昔は出来た遊びが、今は禁止されてしまっていて出来ません。
例えば家庭でごみを燃やして焚火をするというのは、
現代の子供は出来ないので、当然やった事がないはずです。
キャンプ場など決められた場所で、肉や魚を焼く程度でしょうか。
少しでも何かあるとクレームが入り、結果、全てが禁止になってしまう。
近年『LGBT』だとか『ポリコレ』といった言葉を耳にする機会が増え、
そうした方向に社会が進んだ結果、反動で真逆の方向に戻る、
特に欧米では、そうした逆転現象も起き始めています。
クレーマーへの対応であったり、海外の影響を受けて、
日本の古き良き文化が失われてしまうのは、少し残念な気持ちです。
皆様の子供時代はどうでしたか?
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