7. ダッシュ、三点リーダー、長音、~
A11.ダッシュ記号「――」および三点リーダー「……」を2個1組単位で使用し、「、、、」「ーー」「…」「。。。」などは使用しない。
A11の通りです。
ダッシュ記号はダーシと呼ぶ人もいます。
また2つ分の長さのダッシュを二倍ダッシュ、二倍ダーシといいます。
ダッシュも三点リーダーも2個1組で使用することが、出版ではほぼお約束です。
ステータス表示のインデント合わせなど特殊な場合を除いて2個単位で使いましょう。
2個単位というのは、2の倍数個という意味です。
個人的には、別にこだわりがあるなら3個でも5個でも構わないと思います。
ただし小説家になろう上では、書き方警察の人に無駄に突っ込みをされるぐらいなら、2個単位にしたほうが無駄なトラブルを回避できます。
さらに「2個単位でないからブラバした」という意見も皆無ではありません。
これも個人的な意見ですが、三点リーダー1つはなんとなく短い感じがします。
ダッシュ「―」の場合は1個よりは2個のほうが行末の伸ばし棒「ー」や行頭の漢数字イチ「一」と判別がつきやすい効果はあります。
▼▼▼
VRMMOの噴水広場に降り立った。たくさんの人がいる。俺はただの……
いちユーザーに過ぎない。
―ユーザーに過ぎない。(ダッシュ1つ)
――ユーザーに過ぎない。(ダッシュ2つ)
世界最強のパーティー。 (長音)
世界最強のパーティ―。 (ダッシュ)
世界最強のパーティ――。 (ダッシュ2つ)
▲▲▲
文法ではありませんが、台詞などでダッシュまたは三点リーダーを使いすぎる人がいます。作者が自小説に酔っているようにも見えます。使いすぎには気をつけましょう。
また長い沈黙だとしても、10個以上も並んで使うとそれなりに微妙です。もちろんラノベではワザとたくさん並べる作者のかたもいます。
沈黙の台詞では伝統的には三点リーダー4個らしいですが、2個で表現する人も多いです。
ダッシュ記号は、伸ばし棒や罫線、全角マイナスにそっくりですが、異なる記号です。
UnicodeにおいてU+2014が正しいはずだけど、Windowsの紆余曲折により多くの場合U+2015を使用します。
ダッシュ記号の代わりに長音「ー」を使用する人がいますが、やめましょう。
2つ並べたダッシュは、くっついて表示されるのが理想です。しかしフォントやCSSなどの要因で途切れて表示されるアプリもあります。
つながらない一部環境で「罫線」を代わりに使うことがあります。
しかし罫線は、縦書き表示の時に縦線にならない場合や、罫線もつながらないケース、罫線が異様に細いケースなどもあります。
読者の環境では、作者と同じように見えているとは、限らないです。
違う用途の文字を代わりに使うのは非推奨です。
もちろん、なろうではなく印刷する場合はその限りではありません。印刷原稿をPDF化すると横倒しのままだったりする罠もあるので、ご注意ください。
三点リーダーは、フォントにより「...」のように下にずれているものと、上下中央に点が置かれているものがあります。
主に日本語フォントでは中央に、英語フォントでは下部に表示されます。
なろうでは執筆フォーム・表示と本番環境でこの点の位置が異なる環境があります。
よく三点リーダーの代わりに「・・・」の中点、中黒などを使用する人も見受けられますが、非推奨です。
文末にダッシュまたは三点リーダーが来る場合には、句点を省略することがあります。
行頭にダッシュまたは三点リーダーが来る場合には、行頭空白を空ける人と空けない人がいます。なお電撃文庫など角川系では一般的には行頭空白を空けるようです。講談社の校閲のルールでも行頭は空けます。
▼▼▼例
お昼はカレー……すごく楽しみ。
アリスも楽しみだけど、チャーリーはそれ以上だった。
チャーリーを見ると、今にもよだれが垂れそうで……
「チャーリー、そんなにがっつかなくてもカレーは逃げないよ」
「――しょうがないだろ。カレーが大好きなんだ」
……カレーには魔力がありそうだ。
▲▲▲
三点リーダーは主に時間経過、溜め、余韻、前略、中略、後略などを表します。また三点リーダーのみの台詞で沈黙を表します。
ダッシュは、(1)前後ではさんで解説、(2)溜め余韻、(3)後略、(4)台詞の割り込み、(5)引用の作者名の表示、(6)心情表記、(7)単語などの説明などに使用します。やはり前略や中略にも使います。
下記の例は、上のダッシュの説明の順番で使用しています。
▼▼▼例
トールはヒール(1)――異世界では一般的な回復魔法(1)――を唱えた。
「(2)――ヒール!」
「……ああ、ありがたや。みるみる痛くなくなっていきますじゃ、そうそう、あれはわしが若いころ(3)――」
説明は続く。
「そろそろ長そうなのでいいです」
「そうかね。じゃあとっておきの話だけに絞ってやろう。あれはわし(4)――」
「いやだからいいです」
「そうか、残念じゃな」
「……」
トールはとある台詞を思い出していた。
この世界にヒールとポーションがなかったら俺はとっくに死んでいた(5)――フリード三世。
それは偉大な勇者の言葉だった。何度も死にかけそのたびにヒールで復活したらしい。
(6)――ヒールはやっぱりすばらしい。
エクストラヒール(7)――ヒールの最上位魔法、などを使えるようになりたい。
▲▲▲
三点リーダーの上下中央問題について、裏技的技法として、Unicodeの数学記号、U+22EF MIDLINE HORIZONTAL ELLIPSIS(⋯)を使うという、解決方法があるようです。
ただしこれはUnicodeフォントが載ってない状況では文字化けします。また縦書きしたときにどうなるか分かりません。
一応解決方法として紹介はしておきますが、あまり賢い方法とは言えないと思い非推奨です。
プロポーショナルフォント環境では、文字幅がだいたいおかしいです。
Windowsメイリオ環境では、普通の三点リーダーより点がちょっと細くて見づらいです。
以下、ダッシュではなく「長音」に関してです。
日本語には、伸ばす音をU+30FC「ー」を使って表します。
よくカタカナ単語の長音がダッシュに変換されてしまっている誤字を見ます。ご注意ください。
おすすめはMS-IMEの場合、長音記号は「ー」をそのまま入力、ダッシュは「ダッシュ」と入力して「―」に変換する方法です。長音をダッシュに変換してしまうと、記憶してしまい、どちらなのか分からなくて、混在しやすいです。
他にも長音は「あぁ」「だよねぇ」というふうに、「ぁぃぅぇぉ」の小書き文字でも表現することがあります。
さらに「ごくらく~」のように波ダッシュU+301C「〜」で表現します。
しかし主にWindows PCにおいて過去の経緯により全角チルダU+FF5E「~」を使っています。互換性の問題から将来にわたってこの実装が変更されることはほぼないでしょう。
波ダッシュは、なろう小説編集画面などでWindowsだと「MSゴシック系」になり表示がやや汚いので、すぐわかりますが、閲覧画面などでは字形がほぼ同じになる「メイリオ」なので目立ちません。
なろう小説ではどちらを使うのが正しいという話はあまり話題にならないため、どちらでもよいと思います。
この文字が違うことで、検索でヒットしなかったり、5chなどにタイトルの~をコピペすると頻繁に文字化けしたりということが発生しています。5chにはShift_JISの板とUnicodeの板があります。
スマホとPC両方で執筆すると、同じ小説内でも混在していることもあります。
数字の範囲などで半角のチルダ「~」を使っている人もいます。半角だとほとんどの日本語フォントで上つきになってしまいます。和文であれば全角のほうが良いと思います。
なお小説家になろうのWindowsのデフォルトフォントはメイリオで上下中央に表示されます。
▼▼▼▼
うれしい~~。(非推奨)
うれしい~~。(推奨)
100~200円(非推奨)
100~200円(推奨)
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なろうでは見かけませんが、一部の小説ではWAVY DASH U+3030「〰」という記号を使っているのを見たことがあります。
縦書きではWAVY LINE U+2307「⌇」を使い、縦横で使い分ける必要があるようです。
長音符、波ダッシュ、WAVY DASHは、本来はどれも縦書きでは縦向きになる記号です。
付録。各種の伸ばし棒
U+2015 ―― 全角ダッシュ HORIZONTAL BAR(推奨)
U+2014 —— EM DASH(Mac/準Unicode)
U+30FC ーー 長音記号、伸ばし棒
U+FF0D -- 全角マイナス
U+2212 −− 全角マイナス(Mac/準Unicode)
U+002D ---- マイナス記号
U+2500 ── 細線罫線
U+2501 ━━ 太線罫線
U+FF3F __ 下線(全角)
U+005F ____ 下線(半角)
リーダー関連
U+2026 …… 三点リーダー(推奨)
U+2025 ‥‥ 二点リーダー(お好みで)
U+30FB ・・・ 中黒x3
U+002E ...... ピリオドx6
U+3001 、、、 読点x3
U+3002 。。。 句点x3
U+22EF ⋯⋯ MIDLINE HORIZONTAL ELLIPSIS(Unicode)
長音関連
U+30FC ー 長音記号
U+007E ~ チルダ(非推奨)
U+FF5E ~ 全角チルダ(Windows)(一応推奨)
U+301C 〜 波ダッシュ(Mac/準Unicode)
U+3030 〰 WAVY DASH(Unicode)
U+2307 ⌇ WAVY LINE(Unicode)
準Unicode……この文章の造語。CP932で使えない文字のためWindowsからすればUnicode専用の文字。JIS X 0208/0213からすればJISに含まれる文字になる。
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