廻星

青空一星

快晴

 空が青一色に染まっている。雲など寄せ付けず、日の光がカンカンと無神経に差し込んでくる。


 青年は汗をだらだらと流し、自転車を意味も持たないまま漕いでいる。青年の行く先には高い高い坂がある。青年は漕ぐ力を緩めず、懸命に自転車を漕いでいく。


 何も飲まず、休まず、青年は坂の頂上にとうとう着いた。息も絶え絶えとなりながら、視線をガードレールを越えた先へ投げる。


 そこには真っ青な海が広がっていた。所々鉄の塊が頭を出している。青年はそんな景観を何と思うこともなく眺め、似合わないなと呟き、ガードレールから身を乗り出した。それに飽きると、彼は暑くなった頭をさすり、ガードレールにもたれ掛かった。


 そうやってしばらく時間を流し、彼は自転車に手をかけようとする。その時、自転車が青いのに気が付いた。彼は少し動きを止め、やがて三度ほど自転車を撫で、ガードレールを越え、飛んだ。残した自転車に後ろ髪を引かれながら、ぼうっと自らと距離の狭まった緑を見た。


 男は木の根元に転がった。原型は少し崩れてしまったが、確かに青年の面影がある。青年であったソレは、そこでは不自然な産物であったが、そんなことはお構いなしにソレは台地へ呑み込まれた。


 本日も回青である。

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