第3話

 眼を覚ますと、そこにはいつもと同じ灰色のコンクリートの壁が存在していた。

 周りからは、空の匂いや獣の匂い等がして、決して心地よい目覚めとは言えないが、いまの私にはこれでいいとも思える。

 ここは、街中で偶然見つけた廃ビル、その一室だ。誰もいない静かな場所を探したら、ここへとたどり着いた。それからはここを拠点としている。

 誰も立ち寄らず、誰の干渉も受ける事もない。それがたまには寂しくもなるが、私が侵したこれまでの事を考えれば、1人でいる方がいい。

 だが、今日はそうもいかないらしい。

 近くで誰かの足音がしたからだ。私は起き上がり、足音のした方向へと振り向く。

「誰っ!

……え?」

「こんばんわ、"お嬢さん"」

 そこに人影はあった。だがその姿は……最初の犠牲者である、親友の少女の姿だった。

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