魔族と少女(仮)
ソラ
第1話
――私がこの世界に【連れてこられて】最初に見たものは、息絶えた親友の姿だった。
「ここは……?」
眼を開け、私が最初に見た光景、それは、黄色い砂に埋め尽くされている地面だった。
「ええと?」
とりあえず、ここがどこなのかを確かめるため、とりあえずあたりを歩こうかと立ち上がろうとした。
が、立ち上がれなかった。
肩に少しの重さを感じたからだ。
なんだろう?そう思い、隣を見ると、そこには見知った少女が肩にのしかかっていた。
「ひゃっ!?
……あれ?」
それは、私の親友の……大好きな、少女。
少女は眠っているのか、眼を閉じていた。
その姿を確認するや、私は安心した。大好きな親友が隣にいてくれて。だけどそれが不思議にも思えた。夢だとも思えた。
確認するために自分の頬を引っ張ったりもした。痛かった。次に、ちゃんとものに触れられるのかも確認した。
まずは当たりの砂に触れる。その砂は少しの熱を持っていたが、触れないほどの熱さでもなかった。
その感触と熱さも、この場所が現実であると教えてくれた。
最後に肩にもたれかかっている親友の手に触れた。温かいはずのその手は異様に冷たかった。
私はそれを疑問に思って、首などにも触れてみたが、異様な冷たさは変わらなかった。
肩を揺すってみた。眠っているからか、首や手がかすかに揺れるだけだった。
声を掛けながら30分ほど揺すったが、親友は起きる気配が無かった。
そこで私は悟った。悟ってしまった。【死んでしまっている】のだと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます