第1話

新しい中学校での生活にも慣れ、クラスの中がグループ化してきた頃。


そんな時に、その恋は急に訪れた…。


訪れたという言い方は変かもしれない。

よくある言い方だけど、僕は落ちた。

恋に落ちた。


一目惚れなんて無いと思ってたのに。

まさか、自分が一目惚れするとは夢にも思わなかったのに。


不思議と恋に落ちるのは一瞬だった。


たまたま、いつもの時間より早く学校に来た。

電気がついてない学校は、少し不気味だった。


教室の扉が開いている。

誰かいるのだろうか。

顔を覗かせる。

はっと息をのんだ。


薄暗い教室に、差し込んでいる朝日。

窓辺に置いてある小さな花のつぼみ。

1人で花に水をやっている彼女の横顔。


なんとも言えない美しさがあたりを漂っている。

彼女の綺麗な長い髪がさらりと動く。


なんだろう。


なぜか、彼女という存在が気になった。


その日は、始業のチャイムが鳴っても僕の頭は彼女のことでいっぱいだった。


だけど、その恋に終わりのチャイムが鳴るのも一瞬だった。


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