白vs黒

@ramu_mirai

白vs黒

私は、黒いローブに三角帽子というよくあるイメージの職についています。

そう、魔女です。

失礼しました。名乗り忘れていましたね。

私は、セレン・クリスティーナといいます。

大事なのでもう一度言います。

魔女です。

ちなみに、白魔術を扱います。

私は今、海のきれいな街に来ています。

ほうきで飛んでいると潮風が心地いいです。

3日間滞在するために観光をしながら、宿を探し歩いています。

その街の通りには色とりどりの野菜や果物。新鮮な魚や肉。おいしそうなパンなどが並んでいます。

私は、お腹が空いたのでりんごでも食べようかな〜と思っていた矢先に仕事が入りました。

まったくタイミングが悪い…

その現場へ向かいました。

黒魔術師が暴れていました。それが目にした光景です。

しかも、あの有名なテルル・アルメルトさんでいらっしゃいます。

面倒く…間違えました。手のかかりそうな仕事です。

その方は街を破壊しております。

手早く終わらせたいですね。

そう思い、すぐに声を掛けます。

「あのー、テルルさん街を破壊するのをやめてもらえます?」

容赦なく魔法が飛んできます。

風の盾でなんとか防ぎました。

「おっと。」

「あなたはそんなものか」

フッ

今鼻で笑いました?

「そんな、わけ、ないでしょう」

私も負けじと風の盾で守りながら光の魔法を繰り出します。

けれども、私の攻撃はテルルさんにあまり効果が無いようです。

「まったく、どの魔女も同じか。」

はぁ〜

今、ため息を吐きましたか?

イラッとしますね。

「どの魔女、も、同じ、って、どういう、ことですか?」

「俺には勝てない。」

「そろそろ君も、限界かな?」

すごく楽しそうにしているのが尚更腹立たしい。

再び私は魔法を放ちます。光の魔法は効果がなかったので、水の魔法にしてみます。

どんなものか気になります?

水の魔法は竜巻状の水の柱をつくり、相手へ放つ魔法です。

これは、少し効いたようです。《すこしきいたようです。》

互角の戦い。これは、魔法力が先に尽きた方が負けですね。

また、魔法が飛んできます。

今度は何の魔法でしょう?

守っては、攻撃して、守っては、攻撃して…

どのくらいの時間がたったのでしょうか?

私の魔法力が尽きそうです。

まだ、向こうには余裕があります。

気を抜いたら確実にやられます。

あっ!やばい。

すると、突然私の視界がグラッと揺らぎました。

私の魔法力が尽きたようです。

その隙をついてテルルさんは攻撃してきました。放たれたのは、死の魔法。これは、白魔女、白魔術師が決して使ってはいけない魔法。

当たったものは確実に死ぬ。

「どどめだ!」

私はやられることを覚悟してギュッと目をつむりました。

そして、

「あぁぁぁぁぁ!」

叫びました。

バサッ

私は辺りに視線を巡らせます。

そこには、見慣れた自分の部屋と街並みが広がっていました。

「なんだ…夢、か…」

私の鼓動は今も尚早鐘を打っています。

私の体はびっしょりと濡れていました。

それと、塩の味がします。

「今、何時だろ?」

そう呟いて時計に目を向けます。

午前2時30分。

いわゆる丑三つ時と言われる時刻です。

何となく怖くなった私は隣の寝室へ行きました。

まだ、眠っていなかった両親と共にその日は寝ました。

その温かさが、優しさが胸にしみて私は再び暗闇の中へ落ちていきました。

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