クラスメートのメスガキ

野口マッハ剛(ごう)

ざーこ♡

 いつもの通学中、今は春である。本田聖夜は中一、今日もあくびをしている。そこに、クラスメートのメスガキ、加藤理恵が。

「ざーこ♡」

 朝の挨拶がそれだとはなんとも言えない。でも、本田は慣れている。本田はあえて加藤を無視している。

「ざーこ♡ 朝の挨拶も出来ないの?」

 ざーこ、これが朝の挨拶か? そう本田は思う。

 通学中の本田と加藤。

「ねえねえ? ざこは勉強をしているの?」

「別に? なんで加藤に言わなきゃならないの?」

 すると、加藤理恵は微笑んで。

「ざーこ♡ 勉強が出来ないの?」

 本田聖夜はやれやれという感じで聞き流している。加藤理恵はクラスメートのメスガキである。何かを言い返そうにも、本田はそんな気分になれない。

「ざーこ、ざーこ♡」


 さて、中学校に到着した。本田聖夜と加藤理恵はとなりの席である。授業が始まり、本田はぼんやりとしている。加藤はニヤニヤとしてこう言った。

「ざーこ♡」

 ちなみに、小声である。

 本田は相手にせずに授業を受けている。加藤は小声で「ざこ、ざーこ♡」と煽って来る。

 本田は慣れている。別になんとも思わない。先生からここを答えるようにと指されて本田は普通に答えている。

「へぇ、ざこの本田があんな難しい問題を答えるだなんて」

 本田は小声で加藤にこう言った。

「お前ならば楽勝だろう?」

 加藤理恵は顔が真っ赤になった。どうやら、わからないらしい。

「ざ、ざーこ」

 そう加藤は負け惜しみを言うのである。


 次は体育の授業。百メートル走である。本田は速くも遅くもないタイムだ。ニヤニヤしながら加藤理恵が近付いてくる。

「ざーこ♡ よわよわタイムだ♡」

 本田は休憩中である。本田は相手にせずに加藤の言葉を聞き流す。

「見てなさいよ? あたしのタイムを」

 そう自信満々で位置に着くメスガキ加藤。ニヤニヤしながらスタートを切る。風を切って走る、というものではなくて、ものすごくノロノロとして走っているメスガキ加藤理恵。あまりの遅さに本田聖夜はプスッと吹き出す。どうやら百メートル走のタイムでは本田聖夜の方が上のようだ。

 そして、走りきったメスガキ加藤は大の字に横になって息が絶え絶えである。本田は心配で駆け寄る。

「おい、大丈夫か?」

「はあ、はあ。ざ、ざーこ、はあ、ざーこ、はあ」

 メスガキっぷりは健在である。本田聖夜は仕方なくメスガキ加藤を保健室に連れていく。

「ざ、ざーこ♡」

 加藤理恵はまだ言っている。本田聖夜はやれやれという感じである。

 保健室のベッドに横になったメスガキ加藤。ニヤニヤしながら加藤はこう言った。

「ざーこ♡ あたしと一緒に寝たいの?」

「アホか、寝ないけど? それにしても大丈夫?」

「ふふん、あたしは仕方なく負けてやったのよ?」

 その割には全力の様子だったメスガキ加藤理恵。

 本田聖夜はやれやれという感じでベッドから離れようとすると、加藤理恵が。

「ねえねえ? ここにいて?」

「なんでだよ?」

「ふん! ざこのくせして! とにかく、ここにいてちょうだい!」

 本田聖夜は仕方なく一緒にいてやることにする。

「へへ♡ ざーこ♡」


 給食の時間になる。本田聖夜とメスガキ加藤理恵はとなりの席である。ニヤニヤしながら加藤は本田にこう言った。

「ざーこ♡ あたしと一緒に食べれて嬉しい?」

「別に?」

「え、ざーこ♡ 本当は嬉しいくせして」

「そんなことはこれっぽっちもないけど?」

 メスガキ加藤はちょっとシュンとした様子である。本田聖夜はパクパクと食べている。あえて本田は相手にせずにパクパクと食べている。

「あたしのことが嫌い?」

「別に?」

 すると、メスガキ加藤はパアーッと明るい表情になる。

「ん? どうしたのだ?」

「うふふ♡ 本当はあたしと一緒に食べれて嬉しいんだよね?」

「別に」

 ニヤニヤしながらメスガキ加藤理恵はパクパクと食べている。本田聖夜はやれやれという感じで食べている。


 午後の授業を終えて放課後。本田聖夜は自分の席でぼんやりとしている。となりの席にはメスガキ加藤理恵が。ジーッと本田を見つめているメスガキ加藤。本田はそれに気付いているけど今はただぼんやりとしたかった。ニヤニヤし始めるメスガキ加藤。

「あたしと一緒に帰りたいの?」

「別に? 一人で帰るから」

「ざーこ♡ 童貞♡」

「童貞って。本当に加藤はメスガキだよな」

「えへへ♡ ざーこ♡」

 さて、本田聖夜が帰る準備中にメスガキ加藤はこう言った。

「あたし、彼氏がほしいな~♡」

「うるさい。発情しているんじゃねえよ」

「んなっ! 人を犬みたいに」

「そんなにかわいいものじゃないけど?」

「ひどーい」

 本田は下校にする。慌ててメスガキ加藤も下校を。二人は並んで下校中である。

「横に並ぶなよ、メスガキ」

「メスガキメスガキって、ひどくない?」

 どうやらメスガキ加藤理恵は自分の行いに自覚はないようだ。

 それでも本田聖夜と加藤理恵は並んで下校中。春の夕方の優しい風の音、本田と加藤は並んで歩いている。ニヤニヤしながらメスガキ加藤は本田の顔をチラチラと見ている。本田聖夜は特に相手にせずに下校中。どうやらメスガキ加藤理恵は本田のことが。けれども、本田聖夜はそれを無視しているようだ。

「ざーこ♡ また明日ね!」

「おう」


 翌朝の通学中にメスガキ加藤理恵は現れない。本田聖夜としてはうるさい加藤がいなくて静かな通学を出来ている。でも、どうしたのだと本田は思う。朝からメスガキの相手をしなくていいのに、何かが引っ掛かっている本田聖夜。

 中学校に到着した本田は先生から加藤が風邪をひいたことを聞かされる。となりの席というだけで、放課後にプリントを加藤の家まで届けることになった本田聖夜。

 今日の授業はとなりのメスガキがいない。本田にとっては非常に気が楽である。けれども、なんだかやる気が起きない。それは勉強の話だけど、メスガキ加藤がいなくて静かな授業がちょっと耐えられない本田。

 あいつ、大丈夫かな? そう本田は思うのである。

 放課後にプリントを届けに加藤の家へと下校中の本田聖夜。今ごろ風邪でうなされているんだろうと本田は思う。さて、メスガキ加藤の家に到着した本田。

 ピンポーン!

 ガチャッ。

 出てきたのは、メスガキ加藤。

「風邪、大丈夫か? はい、プリントを届けに」

「こほこほ、まあまあ、上がって行きなよ?」

「なんでだよ?」

 本田はメスガキ加藤理恵の家に上がることになった。加藤の風邪は微熱らしい。加藤の部屋はちゃんと女の子の部屋である。本田聖夜はちょっと落ち着かない。

「あれー? 女の子の部屋は初めてかな♡」

「うるさい。寝ていろ」

「こほこほ、まあまあ、大丈夫」

「うつすなよ?」

 二人は部屋でちょっと話をしている。本田聖夜は加藤理恵の体調をちょっと心配をしている。加藤は大丈夫というものの、本田聖夜はすぐに家を出ることにした。

「明日は学校に行けると思う。またね」

「わかった。お大事に」

 本田は自宅に帰った。加藤の部屋はちゃんと女の子の部屋だったことにドキドキする。メスガキだけど、女の子の部屋だよなあと本田は思う。


 翌朝の通学中、本田聖夜に風邪を治したメスガキ加藤理恵が絡んでくる。本田としてはうっとうしいような嬉しいような、よくわからない感じである。春の朝の通学中の音。メスガキ加藤は「ざーこ♡」と本田を煽っている。ちなみに明日は学校が休みである。メスガキ加藤は本田にこう言った。

「明日はデートしないかい?」

「なんでだよ」

「えー? 女の子とデート出来ないの? ざーこ♡」

 本田聖夜は通学中に真面目に考える。このメスガキ加藤とデート? いやいや、ないよなあ、そう思うのにデートがしたくなってくる本田。メスガキ加藤はニヤニヤとしている。本田はこう言った。

「わかった。明日はデートしよう」

 すると、加藤理恵はパアーッと明るい表情になる。

「ざーこ♡ ありがとう」

 本田聖夜はなんだかメスガキ加藤のペースに巻き込まれている。けれども、本田は嬉しいという気分である。明日はデート。本田聖夜と加藤理恵は中学校に到着した。

 今日の授業はなんだかやる気が起きない。明日のデートのことが気になって仕方ない本田。メスガキはとなりの席でニヤニヤしながら勉強をしている。本田聖夜はそんなメスガキ加藤をチラチラと見ている。なんだろう、徐々にメスガキ加藤理恵が可愛く見えてくる本田聖夜。メスガキは時々こちらをチラチラ見ては「ざーこ♡」と煽って来る。本田聖夜はそんなことでは怒りはしない。メスガキとデートかあ、そう本田は思う。

 本田聖夜と加藤理恵は連絡先を交換した。下校中の二人。明日はどこに行こう? そんな話題になるのである。本田はなんだか春っぽくなって来たなあと思う。でも、メスガキとデートは夢にも思わないこと。本田聖夜は明るい表情の加藤理恵をチラチラ見てはなぜか安心している。明日はデート。まだ予定はない。


 今日はデート。とりあえず駅前に待ち合わせ。本田聖夜は加藤理恵を待っている。待ち合わせ時間の五分前。メスガキとデートなのにドキドキしている本田。まだメスガキ加藤は現れない。スマホをチラチラ見ては加藤がやって来るのを待つ本田。待ち合わせ時間通りに加藤理恵は姿を現した。いつものメスガキ加藤理恵とは違う雰囲気。メイク、服装もオシャレである。

「えへへ、待った?」

「別に?」

 本田聖夜はドキドキが高鳴る。いつものメスガキの姿ではないから。二人は駅前でどこに行こう? と話している。せっかく駅前まで来たから街へ行こうという話になる。二人は電車に乗った。ガタンガタン、そう電車は揺れながら走る。本田は加藤の雰囲気に飲み込まれそうになる。かわいい加藤理恵。本田は加藤としばらく無言で電車に揺られている。

 さて、街に到着した本田と加藤。これからどこに行こう? 加藤はカフェやらショッピングを提案する。とりあえず、二人は街の雰囲気を楽しむことにする。街の音は賑やかである。本田と加藤は笑顔でデートをしている。街は広い。途中に洋服屋があるので二人はショッピングを楽しむことにする。加藤理恵は、どれにするのか迷いながら楽しんでいる様子。本田聖夜はそんな加藤理恵を見ては自然に笑顔になる。これは似合うかな? そう加藤が言っている。本田は加藤がかわいい雰囲気なので、いつものような感じにはなれないけど、似合っているよ、と言ってあげる。パアーッと明るい表情になる加藤理恵はその洋服を購入する。本田聖夜と加藤理恵のデートは続く。


 二人は街のカフェに入る。オシャレだね、そう加藤は笑顔で言った。いつものようなメスガキ感がない加藤理恵に本田聖夜は素直にかわいいと思う。二人は席に着いた。二人はアイスコーヒーを頼んだ。頼んだあとで加藤は、あたし苦いの飲めないんだった、と苦笑いをしている。本田聖夜はそんな加藤理恵を見ては、この時間がずっと続いたらいいなあと思う。あれ? メスガキ加藤の雰囲気に飲み込まれそうになっているのかな? 本田聖夜はドキドキが止まらない。二人の元にアイスコーヒーが。本田聖夜は普通にブラックで飲めるけど、加藤理恵は飲んではにがーいと言っている。かわいいんだけど、そう本田は思う。時間は過ぎて行く。今日のデートが終わろうとしている時間。二人は帰りの電車に揺られている。すると、本田聖夜の肩に感覚が。どうやら今日のデートで遊び疲れた加藤理恵の頭が乗っている。その目を閉じている加藤理恵の寝顔に本田聖夜は何を思うのだろうか? 明日はまた学校が始まる。本田聖夜は加藤理恵の髪をそっと撫でる。ありがとう。本田は思う。


「ざーこ♡」

 また学校生活が始まる通学中、加藤理恵はメスガキに戻っている。言われた本田聖夜はなんだか複雑な感覚がある。メスガキに戻っている加藤理恵を見ては安心したような、デートの時にかわいい雰囲気だった加藤理恵のことも安心感がある。本田はとなりで煽って来るメスガキ加藤をあえて相手にせずに通学中。

 中学校の教室に到着した。周りはこんなことをウワサしている。本田と加藤が付き合っている。本田聖夜はやれやれという感じで席に着いた。となりの席のメスガキ加藤はニヤニヤしながら煽って来る。授業が始まる。本田はメスガキ加藤が小声で煽って来るのをあえて相手にせずにいる。

 あのかわいい雰囲気の加藤理恵は幻? そう本田聖夜は思う。となりの席のメスガキ加藤はニヤニヤしながら煽って来る。まあいいか、本田はそう思うことにする。


 ウワサで本田聖夜とメスガキ加藤理恵が付き合っているというもの。本田はクラスメートの男子から、からかわれている。そんなことではない、本田はそうさっきから答えている。メスガキ加藤はちょっと離れたところからこちらをニヤニヤしながら見つめている。本田は一回のデートでこんなことになるなんてと思う。でも、メスガキ加藤とデートをしてドキドキしたのは悔しい気分であるけど。授業中はとなりの席のメスガキ加藤が小声で嬉しいくせに♡ と煽って来る。本田聖夜は授業に集中するのだが、メスガキ加藤理恵はニヤニヤしながら小声で煽って来る。

 放課後、本田聖夜はクラスメートの男子からまだからかわれている。本田聖夜はうんざりとしている。メスガキ加藤理恵が見つめている中で本田聖夜はこう言った。

「加藤はメスガキだから嫌い」

 これがいけなかった。これを聞いて加藤理恵はダッと走って行った。これを見た本田聖夜たちはなんだか気まずい空気になる。

 一人下校中の本田聖夜はうんざりとしている。けれども、ひょっとしたらメスガキ加藤理恵を泣かしたかもしれない。本田聖夜はやれやれという感じで一人下校中。

 ひょこっとメスガキ加藤理恵が現れる。その表情はどうやら泣いていたようなものだった。本田聖夜は気まずい空気になる。メスガキ加藤理恵はムスッとした表情で本田聖夜にこう言った。

「あたしのことは遊びなのかな?」

 その言葉に本田はちょっと考える。確かに一回デートはした。メスガキ加藤にドキドキもした。けれども遊びのつもりはない。本田聖夜はなんだか複雑な感覚がある。

「ごめん。さっきは言い過ぎた」

「はあ? ざーこ、質問に答えてよ?」

「遊びではないけど?」

 この言葉に加藤理恵はパアーッと明るい表情になる。

「そっかそっか! 照れ隠しでそう言ったんだよね?」

「うん、まあ、そんなこと」

「ざーこ♡ またデートしようね」

「そうだな」


 今は本田聖夜は明日の授業の予習をしている。今は夜である。メスガキ加藤理恵の顔を思い浮かべクスッとなる本田。スマホにメッセージが。

「次のデートどうする?」

 加藤理恵からである。本田はちょっと考える。どこにしよう? 本田はこう返した。

「映画デートはどう?」

「いいね! 次の休みの日に映画行こう!」

 本田聖夜はスマホの画面を見てはクスッとなる。安心感がある本田。本田は加藤理恵に対してなんだかふんわりとした感情がある。


 翌日の中学校にて。

「ああ~、何も知らせずにいきなりテストだよー! あたし、ゼロ点だよー!」

 メスガキ加藤は泣きそうな表情でそう言った。となりの席の本田聖夜はクスクスしている。

「何を笑っているのかな? ざーこ!」

「ごめんな? 自分は満点」

「ああ~!」

 すると、メスガキ加藤は涙目でこう言った。

「くそ~! あたしのバカ~!」

 本田聖夜はクスクス笑いが止まらない。

「ふんだ! ざーこ、ざーこ!」

 メスガキ加藤は成績が悪い。本田聖夜が勉強を教えることになる。放課後の図書室で二人勉強会をしている。メスガキ加藤は頭を抱えている。本田が勉強を教えている。メスガキ加藤は涙目で勉強をする。

「あたし、どうしてこんなに頭が悪いの?」

「うん、ちょっとびっくり」

「もー! わーらーうーなー!」

 二人はなんだかんだで楽しそうに勉強会をしている。


 翌日の授業は絵を描くもの。本田聖夜は何を書こうかなと考える。そこにメスガキ加藤理恵があたしを描きなよと言っている。本田聖夜は特に描きたいものがないのでそうすることにする。メスガキ加藤はジーっと見てみるとかわいい。けれども、時々、ざーこ♡ というのは別なのだが。本田はさらさらとメスガキ加藤理恵を描いている。メスガキ加藤理恵も本田聖夜を描いているようだ。二人はさらさらとお互いを描いている。なんだかんだで楽しそうな二人。

「ねえねえ? 次の映画デートは何を観ようかな?」

「んー? 加藤が観たいものでいいよ?」

 二人はさらさらとお互いを描いている。そこにクラスメートの男子たちがやって来る。二人の描いている絵を交互に見ている男子たち。なぜかクスクス笑いをしている男子たち。

 さて、絵を提出する時間になる。本田聖夜の絵はリアルに加藤理恵を描いている。けれども、メスガキ加藤の本田の絵はマンガみたいなもので先生から注意を受けている加藤。

 二人は給食の時間、となりの席同士で食べている。本田はなんだかメスガキ加藤理恵に対してすっかり慣れてしまう。ざーこ♡ と小声で煽って来るのは日常になりつつある。

 放課後、図書室で二人は勉強会をしている。メスガキ加藤理恵は勉強が出来ないなりにも頑張っている。本田聖夜はそんな加藤理恵を見ては安心する。明日はデートの日、映画館デートなのだ。


 今日はデートの日。本田聖夜と加藤理恵は街へと電車で揺られている。楽しい時間。メイクをしている加藤理恵はかわいい。小声で、何を観よう? と加藤理恵は言う。本田聖夜は加藤理恵と話して、少女マンガが原作の映画を観ようということになる。ガタンガタン、電車は二人を乗せて走っている。

 街に到着した二人。映画館に向かう。街は賑やかな音である。本田聖夜と加藤理恵は笑顔で話して歩いている。映画館が見えてくる。加藤理恵はワクワクといった感じである。映画館に到着した。中は涼しい。ポップコーンとジュースを買って二人は映画の席へと向かう。

 さて、映画が始まる。少女マンガが原作ということもあって胸キュンからストーリーが始まる。加藤理恵はポップコーンをぽいぽいと口に入れている。本田聖夜はイマイチこの映画の面白さが伝わって来ない。けれども、加藤理恵のキラキラとした横顔を見ては、ああ来てよかったな、と本田聖夜は思うのである。映画はハッピーエンドで終わる。

 本田と加藤は街で歩いている。映画の感想を言い合っている。二人は笑顔である。

「あたしと一緒にいてイヤにならない?」

「別に?」

 二人は笑っている。映画デートはあっという間であった。


 通学中の本田聖夜、そこにメスガキ加藤理恵が、ざーこざーこ♡ と煽って来る。どうやらメスガキは本田と居られて嬉しいらしい。本田聖夜は涼しい顔で通学中。メスガキ加藤は、ざーこざーこ♡ と愛情表現をしている。昨日の映画デートの時の加藤理恵はどこへやら。

 授業中はとなりの席のメスガキ加藤理恵が小声でこう言った。

「あたしのことを意識しているのかな? ざーこ♡」

 その言葉に本田聖夜は涼しい顔である。とまあ、二人はこんな感じである。デートをすれば女の子な加藤理恵は中学校ではメスガキなのだ。

 放課後に本田と加藤は勉強会。メスガキ加藤は頭を抱えている。本田聖夜はそれを見てはクスッとなる。なんだかんだ言って、二人の日常がそこにあった。


 学校のテストが近付いている。本田聖夜は涼しい顔で放課後、図書室で勉強をしている。メスガキ加藤理恵は本格的に頭を抱えている。メスガキ加藤も勉強をしている。それに本田がメスガキに勉強を教えているのである。さすがはメスガキというだけあってあまり成績はよくない。本田聖夜は丁寧にメスガキ加藤理恵に勉強を教えている。加藤は頭を抱えている、勉強をしながら「ううー、わからん」と言っている。本田はため息が出るも、メスガキ加藤を見捨てない。ちなみに、メスガキ加藤理恵は全教科が苦手であった。これには、本田聖夜はため息しか出なかった。メスガキ、ピンチである。

「中一でこれだと高校進学できないよ?」

「ううー、ざーこざーこ! これくらいのテスト勉強なんか!」

 その五分後には頭を抱えているメスガキ加藤理恵。なんだかんだでちょっとずつは勉強が進んでいる加藤理恵。本田聖夜は丁寧にメスガキに勉強を教えているのでどうやら大丈夫のようだ。

 それからテストに向けて勉強中の加藤理恵。本田聖夜と放課後、図書室で勉強会。静かな雰囲気である。加藤理恵は勉強の問題が解けるたびに「ざーこ♡」と問題に向かって言っている。メスガキ加藤はテスト勉強でもメスガキなのだ。本田聖夜は涼しい顔でテスト勉強中。なんだかんだで二人は青春をしている。

「突然ですが、お金って大切だよね?」

「おう。急にどうした? 加藤?」

「いやー、お金って生活するにあたって絶対に必要じゃん? お金さえあれば、なんでも出来るよね? それじゃ、テストの点数も」

「出来るかアホ」

 二人は笑っている。テスト勉強でも笑顔の本田聖夜とメスガキ加藤理恵。テストが近付いている。そしてテスト当日になった。

 となりの席のメスガキ加藤理恵はテストをすらすら解いているように思われる。本田聖夜も勉強のかいあってかすらすら解いている。すると、メスガキ加藤は小声で本田にこう言った。

「ねえねえ、カンニングさせて♡」

 この言葉に本田聖夜は呆れている。テストを続行する本田聖夜。メスガキ加藤理恵はテストの大半を頭を抱えているようだった。

 そしてテストが終わった。

「テストの時にあんなこと言うか普通?」

「ごめーん」

 それからテストの点数が返ってくる。本田聖夜はほぼ満点である。加藤理恵はテストの点数がギリギリであった。とにかく二人はテストを乗り越えた。

 今は放課後デートの本田と加藤。コンビニでジュースを買って飲みながら歩いている二人。本田と加藤は笑いながら話をしている。本田聖夜はメスガキ加藤理恵と一緒に居られてなんだか楽しい。いつもの放課後でデート。二人の青春である。


 今日は学校が休みなので、本田聖夜と加藤理恵は遊園地デートに来ている。キラキラとした表情の加藤理恵。二人はテストが終わったこともあって、今日は思い切り遊ぶつもりである。二人は笑顔で話しながら遊園地の中を歩いている。デートの時の加藤理恵はメスガキではない。あくまでも学校の時だけメスガキなのだ。本田聖夜と加藤理恵は遊園地の乗り物をひとつずつ回ることにする。まずはおばけ屋敷、本田聖夜は入るのを拒んでいる。どうやら怖いようだ。ニヤニヤしながら加藤理恵はおばけ屋敷に連れていこうとする。そして、おばけ屋敷に入る二人。中はほとんど真っ暗である。本田聖夜はガクガクとしている。ニヤニヤしている加藤理恵。お化け役が驚かせに現れる。本田聖夜は、ヒイッ! と驚くたびに、加藤理恵がケラケラと笑っている。おばけ屋敷デート。本田聖夜は出てから当分は心が抜けているようだった。

 次にジェットコースター、これは二人共が楽しそうにしている。ガタンガタンと上昇しているジェットコースター。そして、急降下。本田聖夜と加藤理恵は、やっふー! と楽しんでいる。ジェットコースターは楽しいよねと下車したあとの二人は笑って話している。

 メリーゴーランドは加藤理恵がニヤニヤしながら乗っている。本田聖夜はとなりで乗っている。ぐるぐる回るメリーゴーランド。加藤理恵がニヤニヤしている理由は、なんだかお姫さまになったような気分だからだと話す。本田聖夜はイマイチぴんとこないようだ。

 遊園地のお昼はレストランで。ハンバーガーランチである。二人はテスト終わりなので、まだまだ午後も遊ぶつもりである。ハンバーガー美味しいね、本田と加藤は笑顔で話しながら食べている。

 午後の遊園地は展覧会があるので入ることにする。絵の展覧会である。本田聖夜は真面目に見つめているのに対して、加藤理恵はイマイチぴんとこないようだ。ちなみに、ここの遊園地の歴史みたいなものを絵の展覧会にしているようだ。本田聖夜は絵に釘付け。加藤理恵はちんぷんかんぷんな表情である。

 さて、夕方になって来たので二人は観覧車に乗ることにする。ここで加藤理恵が観覧車の中ではしゃぐものだからぐらぐらと揺れている。本田聖夜は、おいバカやめろ! と恐怖で叫んでいる。そして、観覧車の頂上から見えてくる景色はとてもステキである。二人は目が合って恥ずかしいようだ。

「本田? 今日はありがとうね」

「うん。こちらこそ、ありがとう」

 二人の遊園地デートは静かに終わりに近付く。


 それから、また学校生活。通学中の本田聖夜のとなりにはメスガキ感のない加藤理恵が。本田聖夜は別になんとも思っていない。けれども、加藤理恵の様子がおかしい。本田聖夜はこの日にメスガキ加藤理恵の様子を観察している。なんだか元気がないようだ。放課後に図書室で本田聖夜はメスガキ加藤理恵にわけを聞いてみた。すると。

「やっぱり、やめようよ。あたしってメスガキだから迷惑だよね? 本田には、きっといい人がいるよ」

 この言葉に、本田聖夜は、何も言わずにメスガキ加藤理恵を抱きしめる。ドキドキというハートの音、本田聖夜はこう言った。

「バカヤロウ、加藤理恵のことが好きなんだ。付き合ってくれ」

 二人は見つめ合う。永遠に思える時間が。ドキドキする本田聖夜。加藤理恵はプスプスと笑い始める。すると。

「ざーこざーこ♡ あたしにホレたのかな? いいだろう、付き合ってあげよう。ざーこ、ざーこ♡」

 本田聖夜はフッと笑みを浮かべて。

「ありがとうな。理恵」

「聖夜のざーこざーこ♡」

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クラスメートのメスガキ 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

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