(二)-6

「シミュレーターより実物をいじりたいところなんだけどな」

 三人はガッカリしている二人にそう声を掛けた。ヤンは宇宙建設労働者の息子だったものの、地頭が良くてクラスの秀才を出し抜く発想をひねり出すアイデアマンだった。マは商人の息子で数学が学年でもトップクラスの成績の持ち主で、この手の機械はお手の物だった。ショータは技術者の息子で座学はともかくも、手先が器用だった。

 確かにこの三人なら学校終わってすぐにここに直行していてもおかしくなかった。お金持ちの級友とは一線を画すこの三人も、エミリアの言葉に発奮したと見えて、俺には意外に思えた。

「シミュレーターなんて、あとどこにあるんだよぉ」


(続く)

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