(二)-3

「クラスのみんなはショッピングセンターで免許が取れるなんて知らないはずだから、連中を出し抜いてやれ」と意気揚々だったシッコとジョバンニは、シミュレーターの前に来て膝から床に崩れ落ちた。

 そこには機械が三台置かれていたのだが、クラスで見覚えのある顔が三人、それぞれの台に座って操縦桿を握っていた。

 しかもシッコとジョバンニに衝撃を与えたのは、先を越そうとして越されたことではなく、先を越された相手が同じクラスメイトの、しかも女子だったという点だった。

「お前らなんでいるんだよ!」

 シッコとジョバンニは台に乗っている三人にそう大声を上げた。

「ちょっと黙っててよ!」

「遅かったですね」

「私たちも、自分たちで操縦して木星に行くことにしたんだ」


(続く)

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