(一)-8

 そう喉から出かかったところで、俺は別の人間から声を掛けられた。

「君は取らないのかい? ジョージ・シッキン」

 声の主は俺たちのすぐ後ろの席に座っているツポレフのものだった。

「興味ねえよ」

 ツポレフは「そうだよな。くだらない」と言いたげな表情をした上で、そう言った。

「お前はとらないのか?」

 俺はその両隣のヤコヴレフとミコヤンにも目線を送って尋ねてみた。

 三人とも首を振った。

 へえ、エミリアには特に興味はないっていうのか。隣の市のエリートさんは違うねえ。


(続く)

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