決戦、回転寿司!

葛西 秋

1皿目 玉子

ね、ほんとに今日、おごってくれるの? 

うれしいな~!

わたし、回転ずしに来るの、久しぶりなんだ!


あ、ちょっとお店、混んでるね。

待たないといけないのかな?

ここに名前、書くね。


……ね、どっちの名前? わたしの? それともヒロ君の?

えへへ、ヒロ君の名前にしちゃった。

なんか、ちょっと、うん、照れるね。


あ、ううん、なんでもないの、気にしないで、ひとり言だから。


ヒロ君、こっち、ここに座って待ってようよ。

……ちょっと狭い? ごめん、わたし、太ったかも。


ううん、ぜんぜん、ぜんぜん!

もうなんか、腕なんかぷにぷにしてるし、せっかくお肉つくんだったら、胸について欲しいのにね!


……Bデス。

っていうか、何なに、それセクハラ! 女の子に胸のサイズなんて聞かないでよ!


もう、ヒロ君がそんな人だとは思わなかった!


東京の大学に行ってから、なんか遊んでるんじゃない?

高校の時はぜんぜんそんな感じじゃなかったのに!


わたしが知らなかっただけ?

そんなことないよ! だって、わたし、ずっと……


え、あ、順番来たんだ。

うん、今行く、待って待って。


えっと、何を頼もうかな。

マグロと、イカと、卵と。


……何その顔。

悪かったわね、セレクトがお子様で。

ワサビは大丈夫だから!


ヒロ君、なに頼むの?

エンガワ? なにそれ食べ物?


食べたことない。

一つくれるの? わーい! うんうん、食べてみる!


えっとそれから、それから……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る