#02 転生先のことを決めましょう




「おぉ、死んでしまうとは、情けない」


「え?」


「・・・今のは気にするでない。1度言ってみたかっただけだ」


「はぁ」


 どうやら、目の前の水晶が俺に話しかけているらしい。


「オホン。 タイゾル・マキナ・コーラルよ、今からそなたの次の生を決める儀式を始める」


「次の生、ですか?」


「そうだ。そなたはタイゾル・マキナ・コーラルとして死を迎えた。よって次にそなたの魂を送り出す先をこれから決めるのだ」


「ちょっと待って下さい!私は妻と娘のもとへ行きたいのです!ここは神の国では無いのですか?」


「う~ん、ここは神の国とは違うのだ。 というか、そなたは今のままでは神の国には行けぬぞ? そなた人を殺し過ぎ! 最後の日だけで100人以上道連れにしてるだろう?其方は殺りすぎちゃったから神の国に行くのムリですから!」


「そ、そんな・・・」


「因みに、其方の妻サリナ・マキナ・コーラルと娘アイナ・マキナ・コーラルの魂はちゃんと神の国へ旅立っておるからな」


 サリナとアイナに会えないだと・・・

 なんてことだ。


「あー、早合点するでない。 其方の魂は今は神の国へ送り出すことは叶わぬが、方法が無いわけでは無い」


「そうなのですか!? なら直ぐにでもそれを!」


「まぁまぁ慌てるな。 まずは先ほど話した次の生を受けることだ。 そして新たな世で徳を積むのだ。前世での業を清算するべく徳を積めば、再び死を迎えた際に神の国へ旅立つことが叶うだろう」


「そ、それは本当ですか!」


「あぁホントホント」


 なんだか軽薄そうな態度だが、本当に大丈夫なんだろうか。

 しかし、今の俺には他に頼るものが無いか。


「分かりました。 して、私はどうすればよろしいのでしょうか?」


「えーっと、これからサイコロを3回振って貰う。 出た目で色々決まるから。1回目が送り出される世界。2回目で性別。3回目でその世界でのそなたの役目が決まるから」


「さ、さいころ?」


「サイコロというのは、コレだ」


 水晶がそう言った途端、目の前に四角い物体が現れた。

 大きさは、目の前の水晶よりも一回り程大きい。

 手に取ってみると、大きさの割に軽い。


「それを放り投げて転がして、止まった時の上の面が出た目だ。 では早速一回目行ってみよう!」


 こんな物で俺の運命が決まるというのか・・・


「何が出るかな♪何が出るかな♪」


「え?」


「盛り上げてるだけだ、気にするでない。早くサイコロを振るのだ」


 ええい、ままよ!

 俺はサイコロとやらを両手で前方へ放り投げた。


 サイコロは地面へ落ちると勢いのまま転がり、やがて止まった。


「おぉ、出た目は6だな! これは・・・科学と宗教の世界だな」


「かがく?」


「えーっとだな、分かりやすく言うと、其方が居た前世にあった魔術という物が無い代わりに、化学という物があるのだ。宗教は前世にも有ったから解るな? その世界はそなたの居た魔術の世界よりも文明が発達しておるの」


 なんだかよく理解出来ないが、俺が居た世界とは全く違うようだな。


「さぁ次行ってみよう!」


 俺は再びサイコロを拾い、構える。


「何が出るかな♪何が出るかな♪」


 水晶の掛け声に合わせて前方へ放り投げる。


「今度の出た目は、3だな! 奇数だから男!また男!ちょっとざんね~ん」


 男だと何が残念なんだ?


「よし!気を取り直して、最後行ってみよう!」


 再びサイコロを拾い、構える。


「何が出るかな♪何が出るかな♪」


 水晶の掛け声に合わせて前方へ放り投げる。


「最後の出た目は、1だな! えーっと、1は・・・『体育教師』!」


「え、ナニ? たいく?え?なんだって?」










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