第27話 航海前に、後悔する前に

アスティ「迷ったら井戸か。まぁ次やるべきことって船に乗るくらいしかないから、迷いようがないんだけどな」

フォクシー「アスティさん?」

フレア「どうしたアスティ?」

アスティ「いや、なんでもない」


 ちょっと食堂の様子でも改めて確認するか…


アスティ「一応少しは片付けたんだろうけど痛々しいな。つーか店長以外はもう事件のこと忘れてるのか」

ホーク「わざわざ改めて言うのもな。俺達の存在をわざわざ禁句連に知らせることになる。そこまで計算尽くってことかもな」


 客と思われるおじいさんがウロウロしている


おじいさん「人気店と聞いたんじゃが……。人が少ないのう……」


 カウンターでは若者が何やら得体のしれない料理を食べている。どちらかというとゲテモノでは?


若者「いやーここのメシは旨いね! 噂通り、いや噂以上だよ! 珍しい材料使ってるし!」


 カウンターの向こうでは一人、不気味なババアが楽し気に働いている。相方いなくなってることには気付いてない訳ないのに。メンタル製か? それともボケが来てる?


ババア「ヒョヘヘ……手伝ってくれるのかい……? それとも、材料になってくれるのかい…?」

アスティ「ヒッ!? ごめんなさい!」


 やべぇババァだ……


 さて、港の方はどうなってるかなー……


船員「出港準備完了!」


ゴブリン「船が出るゴブ。乗るとしばらく戻れないゴブ。乗るゴブ?」


ホーク「俺を仲間にしたことで一部のイベントに変更・追加があるらしい。……いや、ただの独り言だよ」


ホーク「船と言ったら定番はアレだ。巨大なバケモノに襲われるかもしれん。もはやこれはフラグだな」


 んー、じゃあちょっと町の方も見てみるか、ちょっとだけね


アスティ「さて、ここの入口は……やっぱり開かないか」

ホーク「なあアスティ、なぜいちいち他人の家に入ろうとする?」


アスティ「なんかオッサンってさ……意外と常識人だし口数少ないよね」

ホーク「意外じゃねーし! それに町中で口数少なく見えるのは……きっとだよ」


フォクシー「……聞きなれない言葉ですね……」

アスティ「どうせオッサンが妄想で適当こいてるだけでしょ」


ホーク「なんだとこの淫……ピンク! ……ちっ、の影響受けるのかよ!」

アスティ「なのにの影響受けることあるの? ?」

ホーク「は一筋縄じゃねえからな。むしろ今のはだよ」

アスティ「中二病か」


アスティ「さて、こっちの入口はどうかなっと……ふぬ、ふぬぬぬぬん! クソが!」

アスティ「こらー! ここを開けろアンポンタン!」

ホーク「うわーマジでひくわー。めっちゃドン引きだわー」


 あ、バニーじゃん。あいさつくらいしてくか


首切りバニー「4人相手ならあまり手加減できないけれど今は……そういう気分じゃないのよ。またね」

アスティ「いやこっちも今は別に戦う気はないし」

首切りバニー「こっちにも都合があるのよ」

アスティ「あー。そこはお互い様ってことで」


ホーク「何お前ら話してるんだよ。あまり勝手なことはやめてくれよな。つーか、まさかお前ら3人でこのバニーと戦ったのか? 命知らずだな…」

アスティ「次はオッサンも一緒に戦うの!」

ホーク「おい、俺を巻き込むな。戦闘狂かよ」


 そろそろ船に乗るか、という訳で。私達は港に戻ってきた。


――私は目をつぶり、いったん落ち着いた――


ホーク「船と言ったら定番はアレだ。巨大なバケモノに襲われるかもしれん。もはやこれはフラグだな」


 ん? なんかさっきも聞いたなそれ


アスティ「それでも乗るゴブ」

フレア「なんだそのゴブ、いや語尾は」

ホーク「ウザいからやめろ」

フォクシー「アハハ……」


 フォクシーちゃんの愛想笑いは、顔が引きつってるし「アハハ」とわざとらしく笑うのですぐわかるようになってきた。それはともかく


いよいよ船旅! 新大陸! オッサンは「船に巨大なバケモノは定番」とか不吉なこと言ってるけど、それがフラグにならないことを祈ろう。祈る対象の神が誰かは知らんが、「よっぽどのポンコツ神」じゃなければまあ普通に無事に目的地に着くだろう……たぶん、めいびー

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