第10話

「よ、弱すぎる…」

「おめーが強すぎるだけでは?」


いや、これはボスだから弱すぎるであってる

例え一撃でも俺が強すぎる訳じゃない


「師匠…これなら周回します?」

「そうだな…そうするか!」


「へ?周回ってなに?」

「はは…周回、一緒に頑張ろうね…」


周回ってのはなぁ…

ボス周回の事だよ!!!


ーーー


「ボス周回させられるとか…マジでなにさせてくれてんだよ…」

「これも報酬を増やすためだから我慢してくれ」


これだけで報酬が数倍になるから

効率がすげぇ良いんだよ


「そうだよ…私も怠いのに頑張ってるんだから」

「もしかしてもう一周するのか?」


「いや、流石に帰る」

「…ならいいか、で?報酬は?」


「換金額の25%」

「…マジ?」


「大マジ、とりあえず換金してくるわ」 

「よろしく」


ーーー


「いえーい!一回で380万!一人頭95万だ!」

「マジ!?正式にパーティーメンバーにしてくれよ!」


金でめちゃくちゃ簡単に釣れたなコイツ…

大丈夫か…?


「いいぜ!でももっと上のダンジョン行くかもしれないからそこは覚悟してくれよ?」

「分かってる、ってか最悪抜ける」


おお…流石にそこらへんはしっかりしてるな

これなら大丈夫だろ


「ま、それはそうか、とりあえずよろしく」

「じゃ、私も正式にパーティーに入れて下さいよ」


そうやって回復術師の…誰だっけ?

…まぁ回復術師がそうやって俺に言ってくるけど


「え?今更?俺既に正式なパーティーメンバーだと思ってたんだけど…」

「え?そうだったの?…よろしく」


お前…1回目で採用的なこと言わなかったっけ?

疲れ切ってて聞いてなかったのか?


「お、おう…」


ともかくそこまで想定してなかったのはドン引きだよ、お前は一人で生きていけるのか…?


ーーー


「あの…リーダー」

「お〜なんだ…回復術師」


名前覚えて無いのがバレてしまう…

いや、既に何回かこのやり取りしてるからバレてるけどね?


「いい加減名前覚えてよ…私の名前は回復術師じゃなくて灯里、分かった?」

「オーケーオーケー、分かってるって灯里…で?俺に何か用か?」


割とコミュ障な灯里が話しかけて来るとか特別な何かがあるんやろなぁ…


「あの…リーダーは紅葉ちゃんとどんな関係なの?っていうのが気になって、その…」

「あ?紅葉との関係?師弟だよ、それ以外だと…パーティーメンバーとか?」


なんでそんなどうでも良いことを勇気を振り絞ってまで聞いてくるの…?


「ふーん、そ、なら…良かった」

「えぇ…良かったってなんだよ…」



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