第117話 メルSIDE また......
あれはなんなの?
軍神アークスとセレナくんが戦っているじゃない?
アークスがマモンの時にゼクトと一緒に戦い、私敗北したのよ。
あれ、どうすれば良いのかな?
私が間に入っても一瞬で殺されるから意味無いし。
魔王ルシファードが来ても勝てないし、どうにか出来そうなのは冥界竜バウワー様かイシュタス様位……
『全くどうすれば良いのよ』
助ける方法は無い。
だけど、見捨てたら、あのムスコン女神の事だ……
『良くも私の子を見捨てましたね』
と絶対にイチャもんつけて来るわよね。
それにセレナくんは可愛い身内だから、どうにかしたいけど……
駄目だわ。
ドラゴンの戦いにトカゲが加勢するような物だもん。
意味ないわ。
はぁ~ 胃がまたシクシク痛むわ。
私の体は完璧で朽ちないし、病気にもならない。
だけど、最近……本当に胃が痛むのよ。
全く……うん、考えるのは良そう。
どうせ、冥界竜バウワー様のお気に入りだし、死んでもどうにかするでしょう。
「メル様、どうかしたのですか?」
「これよ! これ!」
顔を出したエドガーについセレナくんがアークスと戦っている映像を見せてしまった。
「これは……セレナ様、戦っている相手は誰ですか?」
「軍神アークスよ……」
「あの伝説のマモンが神格を得たという……別次元の神様……」
「そうよ……」
「凄い! 神々の戦いだ! 軍神相手に戦うなんて流石は我が神、マイロードセレナ様! 私は今、感動している!」
表に出さないように厳命していたせいか……ますます拗らせたみたいね。
「そう……だけどこれ、どう考えてもセレナが不利だわ」
「ふっ、解ってない! メル様、セレナ様は神の子供!『その時奇跡が起こった』とか超常現象が起きて必ず勝つのです! もし、それでもセレナ様が負ける事があれば、それは我々セレナ信者の負けです!」
「セレナ信者? 何事?」
「メル様、馬鹿なのですか? リアル神の子が居るのですよ! その方を拝まなくてどうするのですか? イシュタス様とセレス様の子! それが現生に居るのです! まさに『崇める存在』です」
私が知らない所で、とんでもない事になっているじゃない?
「その……セレナ信者って……」
「教皇様をはじめとする各国の王が裏で作った組織です。 心の底からセレナ様を崇める存在のみが仲間になる事を認められます」
「私の知らない所で、またそんな事になっていたのね……」
「はい、ちなみに生徒ではルル王女が入信していますよ」
「それ、本当なの?」
「はい、ほら、生徒側でもセレナ様のフォローが出来る人間が必要でしょう?」
「それ、私、知らないんだけど?」
「あはははっ、それより、ほら……流石神の子ですね。最初は一方的だったけど、結構競り合い出したじゃないですか?」
「なにこれ……こんなのセレスでも出来なかったわ」
確か勘違いじゃなければアークスにはセレスでも敵わなかった。
そのアークスと互角に戦う力がセレナくんにはあるっていうの。
しかも、アークスは戦闘狂。
セレスが戦った時より強くなっているかも知れない。
こんな子……学園になんて……
『ムスコン女神って誰の事かしら…….』
うっ……まさか……
「げっ、イシュタス様」
「メル様、どうかしましたか?」
「あははは、うん、なんでも無いわ」
『なんで、イシュタス様が』
『私は女神、私の声を聞けば教皇ですら歓喜すると言うのに……』
『すみません』
ハァ~親ばかだわ。
セレナが絡むとこうも簡単に神託を下すのね。
『親ばか……私に言ったのですか?』
『なんでもありません……』
『まぁ良いわ。今回の戦いは神の試練です。手を出さなくて良いし何も貴方に責任は有りませんからただ見守るだけで良いわ』
『そうですか……』
あの、クソ女神、だったら最初から言って置いてよ。
『クソ女神ですか……これは罰を与えないといけませんね』
『えっ……あのイシュタス様』
『私は慈悲深いのです……そうですね今日一日30歩ごとに一回転ぶ呪いをかけました……では』
『ちょ……イシュタス様』
ううっ、地味に酷い。
「メル様、どうかしました?」
「イシュタス様からの神託でこれは神の試練だから放っておいて良いって」
「そうですか……それじゃ私は……」
「何処に行くの?」
「他のセレナ信者と感動を味わってきます」
「ちょっと待って……ハァ~もう居ないし……」
関らないで良いならよいけどさぁ。
こんなの見たら、またセレナフィーバーが始まるじゃない。
どうせ、また……ううん、良いわ……今は見るだけ見てよう。
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