第31話 服が着れない
「本当にあんた…名前なんて言うんだっけ?」
そう言えば名乗ってなかったな…
「セレナ…宜しくね! エルザ」
「あっ…うん、それでセレナ様はなんで私を買ってくれた訳? 買われると思わなかったから、さっき迄ちゃんと話して無かったけど…あたい、かなり年上だよ…それこそ母子位。あたいに家事は無理だし、あたいが曲げた剣を伸ばせた位だから、力だってある。あたいを買ってどうしたいのか解らないんだけど?」
別にどうこうするつもりはないんだけどな。
だけど、この服装…セクシーすぎて困る。
ほぼ下着姿にしか見えない。
「特になにか頼む気はないよ…しいて言うなら『花嫁候補』そんな感じかな?」
「ははは花嫁候補?!このあたいが?」
「うん、実は僕は色々あって結婚相手を探しているんだ…複数人」
「いや、あたいは可笑しいだろう? セレナ様は年齢幾つだよ! 普通に考えて若い子を探すだろう? 器量は置いておいても、年齢だけとっても可笑しいと思うけど?」
あはははっフルールと同じ反応だ。
「言いにくいけど、周りに言わせると僕ってかなりのマザコンでオバコンらしいよ!自分ではそう思って無いけど…年上が好きなのは本当だよ」
「年上ったって倍以上歳が離れているんだ、親御さんだって納得しないと思うよ」
「年上が好きなのはお父さんも同じだから、お父さんの結婚相手もかなり年上ばかりだよ?!だから問題は無いよ」
「マジ? お父さんもそうなんだ?」
「うん、まぁね」
「うん? ちょっと待ってよ! セレナのお父さんって考えたら、普通に考えて30歳近い筈だよな! だったら、当たり前じゃないか、少し年上なだけじゃないかな?」
「違うよ、お父さんが15歳位の時に30歳前後のお母さん達を娶っているから…」
「あははっ、そうなんだ、それなら文句も…っていうか普通にいわれるだろう? あたいは犯罪奴隷でさらに終身奴隷なんだぜ! 良かったのか? あとで怒られるかもよ!」
「あははっ、うちは皆、自由にしているから多分、大丈夫だよ」
「そうか?怒られても知らないからな~」
そう言って笑うエルザは年上なのにペロッと舌を出して凄く可愛らしく思えた。
だけどなんで…エルザはほぼ下着姿なんだ。
「それで聞きたいんだけど、なんでエルザは殆ど下着姿なんだ?」
目の保養には凄くなるけど、流石に少し恥ずかしい。
「うん…ああっあたいは力の制御が出来ないっていっただろう? 服も防具も満足に自分じゃ身につけられないんだよ。ボタンは止められないし、被る様な服でもちょっと油断すると千切ってしまうから、あはははっアーマー系の防具ですら攻撃じゃ無くて自分の動作で壊しちまうんだ」
「そうなの?」
「ああっ、だから服も防具もすぐ壊しちまうから、最低線の服しか着られないんだよ」
「それで、下着に近い格好をしているんだ…恥ずかしくないの?」
「そりゃ若い頃は恥ずかしかったけどね…ふんっ、もうこの年齢になったら見たい男も少ないだろうよ!良い歳したBBAの体になんて、そんな価値無いよ」
「いや、その年齢がドストライクの僕に言われても困るんだけど…」
僕から見たら、綺麗な女性にしか見えないんだから、そう言われても困るよ。
「ああっ、ああっ…なんだかゴメン…うん、そう言う目で見られると…ちょっと恥ずかしい…ああっ、もう」
こういう照れる姿が、エルザは気がついてないんだろうけど、可愛い。
「それじゃ、取り敢えず古着屋さんに行こうか?」
「そうだね…あはははっ、全くもう、そう言う目で見られると、久々に恥ずかしく思えて来たよ」
その後、古着屋さんへ行ったんだけど、エルザは自分で服が着れないので、着せてあげなくてはならなくて、僕もエルザもお互いに顔を真っ赤にしながら服を着ていった。
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