第23話 空竜
「あれが帝国か、凄いね」
「それより、なんで私達は空竜の背に乗っているのでしょうか?」
「何か可笑しいの?」
「いや…そのなんでこの竜は私達を背中に乗せて飛んでいるのでしょうか?おかしいですわ」
「竜さん達とは友達だから乗せて貰えたんだ…それだけだよ」
「こんな大きな空竜が友達? なのですか?」
「うん、全部じゃないけどね…竜さんは優しいよね」
「そうなのですか? 凄いですわね」
セレナ様はもう何でもありですわね。
驚いても仕方ありませんわね。
◆◆◆
時間は少し遡る。
「国を出てきてしまいましたが、どうしましょうか?やはり距離がありますので馬車を使った方が良かったかも知れませんわ」
「そうだな~」
ドラゴンウイングでフルールさんを抱えて飛んでも良いんだけど…セレス父さんから余りこれやら無いように言われて居るんだよな。
どうしようかな?
僕は音がしない口笛を吹いてみた。
この口笛の音色は竜種にしか聞こえない。
バウアーおじさんから教わったんだ。
「あの…さっきから音の聞こえない口笛?を吹いてどうしたんですの?」
「これは竜笛と言って、竜を呼ぶことが出来る口笛なんだ」
「竜が寄ってくるのですか?危ないですわ…やめた方が宜しいですわ」
「竜って良い人?ばかりだから大丈夫だよ」
「あの…まさかと思いますが竜の友達が居ますの?」
バウワーおじさんは身内みたいな者だし…セレス父さんはお父さんだし…う~ん青竜おじさんも身内…そう考えたら友達は居ないな。
「居ないよ」
「流石のセレナ様でも竜のお友達はいないのですね」
ニョロは友達だと思っていたけど『使い魔』だから、悲しいけど居ない…
そう言えばニョロも余り呼んじゃいけないと言われているんだよな…
「うん、居ないね」
僕は竜笛を吹いていたら…
「不味いですわワイバーンが沢山寄ってきましたわ」
「なんで?」
「なんでってワイバーンですわよ!亜竜ですわ! くっ1羽なら兎も角この数じゃ…」
「大丈夫だから」
ワイバーンって鳥さんみたいな者だよね。
僕とフルールで乗るには小さいから他の竜を呼んできて貰おう。
◆◆◆
※『』の中は竜語なのでフルールには解りません。
『来てくれて嬉しいけど2人乗りは無理だよね…悪いけどもっと大きい竜を呼んできてくれるかな?』
『解りました、近くに空竜が居ますので、すぐに呼んできますね』
『悪いけどお願い』
『それじゃ暫しお待ちください』
◆◆◆
「あのセレナ様、ワイバーンと何をしていたのですか?」
「何をって会話だけど? ワイバーン達じゃ2人で背中に乗るには小さいから、大きい竜を呼びに行って貰ったんだ…少し待ってって」
「え~と、今の話だとセレナ様はワイバーンや竜と話せるのですか?たしか竜の友達は居ないのですわね」
「友達は居ないけど…父さんと知り合いのおじちゃんから、竜笛と話し方教わったんだ、お父さんやおじちゃんからすると発音が下手みたいだけど話は出来るよ」
「凄いですわね…大昔には竜騎士っていうジョブがあったみたいですがもう800年も前に消失したみたいですわ…まさかお父様がは竜騎士だったり…します」
「違うよ…あっ来たよ! 背中に乗せてくれるって、ほら乗ろう」
「くくく空竜?! 大丈夫なのですか?」
「#$%&#$%&」
「うん、この竜、凄く良い竜で乗せてくれるって…ほら乗ろう?」
「はい…本当に大丈夫ですの?」
「保証するから乗って」
「はい」
心配そうなフルールさんの手を取り俺は空竜の背中へと乗った。
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