第218話 お別れ


いよいよ結婚式の日が来た。


大人の事情で先に式をあげるのはゼクト達にした。


「ゼクト、マリン、ルナ、リダ、マリア、メル 貴方達は病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、死が皆を分かつまで命の続く限り、お互いを愛し、敬うことを誓いますか?」


ゼクトはタキシードに他の皆はちゃんとウエディングドレスを着ている。


だが、結婚の誓いをする相手が俺だ。


「「「「「「誓います」」」」」」


「それでは新郎と新婦はこれにて結ばれる事に…まぁ俺に誓ったんだから絶対に別れないでね…別れたら知らないからな」


「セレス…様、もう少し、何か言葉は無いのか…」


「そうだな、ゼクトは一見軽そうだし、馬鹿な事もやるけど根っこは良い奴だ…本当に困ったら俺も助けてやるから…その支えてあげて欲しい…頼むよ」


「「「「「はい」」」」」


「おい…面倒見ているのは俺だろうが」


「そうだな、最近はうん、良い男になったよ…勇者、その言葉は今のお前には凄く似合う称号だ…結婚をしたんだ、もっと、もっと頑張れよ親友…悪いな、どうしても挨拶の言葉が上手く浮かばなかった…だから、これで許して欲しい…マリン、ルナ…ゼクトに力を貸してくれてありがとう…多分、またリダ、マリア、メルが迷惑を掛けると思うから…頼むね…皆、皆…根は良い奴だから」


「「はい」」


「リダ、マリア、メル…ゼクトと一緒に幸せにな」


「「「はい」」」


「じゃぁ…本当に頑張れよ…」


「「「はい」」」


「あのな…セレス…お前が泣いてどうする?」


「仕方ないだろう、幼馴染が立派になって結婚したんだから…」


「まぁ俺ららしくて良いけどよ…だけどこれ世界中継されているんだぞ」



「まぁ良いや…俺が応援するから幸せになれよ」


「「「「「「はい」」」」」」


ドタバタしながらゼクトの結婚式は終わった。


大体、教皇がいるのに俺が急にこんな役をやらされるなんて思わなかった…


「イシュタス様やセレス様が居るのに…私ごときが」と言って魔王も含み全員辞退…酷いよな。


バウワー様や竜族も逃げるし…


こんなでも俺は頑張った…よな。


◆◆◆


午後になり…今度は俺の番になった。


俺は結婚式の信仰をイシュタスに丸投げした。


もう妻なのだから…流石に様は可笑しいよな…


静子、ハルカ、ミサキ、サヨ…本当に綺麗だ。


そしてマリアーヌにフレイ、セシリアも流石は各国の王女や聖女…思わず見惚れてしまう。


「セレスくん、まさかこの齢でウエディングドレスを着るなんて思わなかったわ…どうかしら?」


「少しはずかしいな、セレスどうかな?」


「セレスちゃん…どうかな?」


「セレスさん…少し恥ずかしいわ」


「皆、綺麗だ…思わず見惚れてしまった」


「セレス様、私はどうですか?」


「どうかな?」


「どうですか」


「思わず見惚れる位綺麗だよ」


俺の方が人数が多い…もうゼクトを『ハーレム野郎』とは言えない。


しかし、イシュタスはまだ来ていない…


どうしたのかな…


空に大きく画像が浮かんだ。


『皆さま、私とセレス…そしてその側室の結婚をお祝いしてくれてありがとう…まぁ女神である私と縁石を結ぶのですから『絶対に幸せ』になります、だからご安心ください...それとセレスから皆様に挨拶があるそうですので…変わります』


空一杯に映ったイシュタスの姿が消え、俺に変わった。


『皆、今は凄く世界は平和になったと思う…そう思わないか?』


周りがかなりざわつきだした。


『教皇と魔王が茶飲み友達になり、同じ国でチェスを楽しみ、魔王が勇者を四天王にスカウトする…魔族や知能の高い魔物と森で挨拶…本当に昔は考えられない事だ…もうこの世界に『神竜』は要らない。だから、俺は、いや俺達はこの世界を去る事にした』


「セレス…お前…」


『ゼクト…受け取って貰いたい、四天王の返事まだなんだろう? 君を『二代目コハネ王に任ずる』 財産も大半は置いて行くつもりだから頑張れよ』


「おい」


『ロスマン名誉教皇、ロマリス教皇、魔王ルシファード、ザンマルク四世、サイザー帝王、若輩者だと思いますが根は良い奴なんです、面倒見てくださいませんか』


「神からの頼み、このロスマンが断る訳ありませぬ」


「このロマリスがしっかりと見させて頂きます」


「セレス様…は我らの大魔王、そして神です、その願い必ずや」


「私でよければ…」


「引き受けました」


『これで安心しました…お願いしますね』


「おい、セレス…これはどう言う事なんだよ」


『馬鹿だな~ゼクト君は王様になりたかった筈だ、昔一緒に旅した時そう言っていたよな…』


「確かにいった」


『だよな…途中色々あったが、今のゼクトにならその資格はあると思うんだ…だから譲ってやるから…なれ』


「セレス…どうしてだ…」


『ほら、俺、神竜だし結婚相手の中に女神イシュタスが居るから、このまま人間界に居るのも問題があるんだ…だから話し合って皆で此処を去る事にしたんだ…親友受けてくれるか?』


「嫌だ…やっとまた友達に戻れたんだ、俺はお前ともっと酒を酌み交わしたい」


『ゼクト…親友なのは変わらない、以前お前がパーティを去る俺に言った事だ…受けてくれないか?』


「解った…そこ迄言うなら受けるよ、ありがとうなセレス」


『ああっ頑張れよ…リダ、マリア、メル…頑張ってゼクトを支えて暮すんだぞ』


「うん、僕頑張るよ」


「ええっ任せて」


「うん、頑張る」


『ルナ、マリン…ゼクトを支えてくれてありがとう…平和な時代に必要ないが、俺から加護は与えられないがささやかな『祝福』をあげよう、まぁ他の花嫁は三職だから、これ位はあった方がよいだろう…ほら』


「ありがとう」


「ありがとうございます」


『それじゃ、皆…楽しかった…さようなら』


こうして俺達はこの世界から姿を消した。




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