第65話 動き出す
「しかし、セレスくんのあれ…」
「一体、セレスどうなっちゃったのよ? 激しいのは良いけど体がもたないよ、静子、貴方何かしたんじゃないの?」
「してないわ…断じて」
「静子が何かしたんじゃないなら、あれはセレスさんの…性欲そのままなの?」
「私、結構な体力だし、性欲もそこそこあるんだけど…まさか4人相手であれ…どうしちゃったのかなセレスちゃん」
何があったのかは解らないわ。
だけど、セレスくんはまだ成長期…
これからますます成長する。
世の中にはオークマンさんみたいに10人の妻を持っている人間もいるし…セレスくんは凄いのかも知れない。
そうなると体がもたないかも知れないわね。
どうせ引き込むなら知り合いの方が良いわ。
「それでね、昨日の事があったからね…後ろ盾兼、仲間を増やそうと思うのよ…私は、そうね、セシリアちゃんが良いと思うわ」
「まだ言って来てないけど私は帝国のフレイが良い、先の剣聖だし帝国の第一王女、話もあうし彼女がお勧めだよ」
「そう、それなら、私はマリアーヌちゃんで良いと思う」
「あの…セレスちゃん相手に1人増やしたって無駄だと思うわ…いっその事、三人全員貰っちゃえばどうかな? わたしは少し脳筋だから難しいけど、静子やサヨなら上手く三国と交渉して良い所どり出来ないかな」
「私より搦め手は静子の方が得意よ…」
「あら、顔色一つ変えずに交渉出来るサヨの方が適任だわ」
「出来ないと言わないんだから凄いよね、ミサキ」
「ねぇハルカ…私の事『腹黒い』って言いたいのかしら? ハルカにもう化粧水あげるのやめようかな?」
「ごめんなさい静子、私、そんな事おもって無いから…頭が良いってそう言いたかっただけだって」
「そう…それならいいけど」
あの性欲が一時的な物なら良いけど…違うなら増やす事も視野に入れて考えないとね。
◆◆◆
「今の勇者パーティはそこ迄弱いのか?」
「はい、魔王ルシファード様」
余の宿敵たる、勇者が今不調をきたしオーガ相手に苦戦していた。と言う。
そんな馬鹿な事は普通は無い…勇者とは女神の切り札、本来ならそこ迄弱いわけが無い。
だが、勇者のジョブはその都度作るせいなのか…弱い勇者が現れる事がある。
それはこちら側も一緒だ…弱い魔王もいれば強い魔王もいる。
余は魔王としては至って平凡で平均的だ。
だが、こちらには邪神様のバグと言われているマモンが居る。
身分は四天王でありながら、その実力は余を遥かに凌ぐ。
マモンが居る限り、魔王軍に負けは無い。
今迄の殆どの勇者はマモンとの戦いを避け…魔王に戦いを挑んできた。
ただ、彼奴は余の命令すら聞かぬ…
勇者を倒せば…次の勇者が現れるまで最低5年、長ければ10年かかる。
その間、戦いを優位に進められる。
「だれぞ、マモンを呼んで来い」
「はっ、魔王様」
◆◆◆
「ルシファード、呼んだか?」
「マモン、魔王様の前で無礼であろうが!」
「爺はすっこんでいろ!」
「貴様――っ」
「良い、何時もの事だ、マモンよ、以前お前が言っていた『強者と戦う旅』を余は許そうと思う」
「ほう~随分と反対をしていたお前がどういう事だ」
「今の勇者ゼクトのパーティを倒して見せよ! それが終われば…次の勇者が現れるまでの5年~10年は自由にして良い…どうだ? 悪く無かろう?」
「そうかい…今の勇者パーティを倒せば、5年以上の自由をくれるんだな! ただ俺は手加減が出来ねー、殺しても問題はねーんだな!」
「ああっ構わぬ」
「それなら、問題ない、引き受けたぜ…勇者ゼクトを倒したその足で旅に出させて貰う…それで良いんだな?」
「ああっ構わぬ」
これで、勇者達もおしまいだ…強き勇者でもマモンには敵わぬ。
まして、今の勇者なら確実に討ち取るであろう。
◆◆◆
勇者を倒せば…旅に出られる…その報酬なら殺すまでだ。
俺が戦いたいのはあんなパチものじゃない…真の強者だ。
勇者等、弱い人間に女神が加護を与え強化をしただけの人間等、戦っても面白くない…俺が戦いたいのは真の強者だ。
戦う為に知略を練り、相手を出し抜き、全力で挑む者…そういう者との戦いこそが俺が望む物だ。
俺は生まれてから今迄、負けたことは無い…
だが人生で1度だけ…俺は痛手を負った事がある。
その男は…自分の愛した者の敵討ちに俺に挑んできた。
策略…武器、あらゆる物を駆使して俺に挑んだ…
その結果俺は…角と片目を失い…回復するまでに数十年の痛手を被った。
そいつは勇者どころか四職でも無い…只の猟師だった。
もし、あの男が勇者のジョブを持っていたら…天秤はどちらに傾いたか解らない。
俺の人生…唯一の強敵…ルディ…俺はお前の様な男ともう一度戦いたい。
女神よ…お前が真の魔族の敵であるなら、俺の前に『ルディ』の様な強き敵を立たせて見せよ…
再び、強者と戦えるまで…俺は全ての人間を殺していくぞ…
今『剛腕のマモン』が勇者を殺し、世界を蹂躙する為に動き出した。
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