【カドコミにてコミカライズ連載中 コミック4巻!小説版2巻!絶賛発売中】勇者に全部奪われた俺は勇者の母親とパーティを組みました!
石のやっさん
第1話 追放される
パーティリーダーであり勇者のジョブを持つゼクトが告げる。
「悪いが今日でクビだ」
「そうか、まぁ良いや」
ゼクトとは幼なじみだが『いつかはこうなるだろうな』位は何となく思っていた。
「親友」確かにそう思っていたが、此奴にはどうしようもない悪い癖がある。
剣聖のリダ
聖女のマリア
賢者のメル
五人揃ってSランクパーティー『希望の灯』そう呼ばれていた。
やや中二病な名前だがまぁゼクトは勇者だし、剣聖や、聖女、賢者まで居るから可笑しくない名前だ。
だが、このパーティには問題がある。
それは三人が女だという事だ。
ゼクトは基本そんなに悪い奴じゃない。
だが、一つだけ俺から見てクズの所がある。
それは『女癖の悪さ』だ。
大人の考えの俺は、それで此奴の全部は否定はしない。
確かに『友情』はある…だがゼクトは『友情』より『愛』を優先する。
そういうタイプだ。
最近の俺は他の皆から取り残されていた。
ジョブの差で成長した3人に能力が追いついていないのは事実だし仕方がない。
だから、別にクビになっても良いと思っていた。
だってそうだろう? 揉めてまで一緒に居ても仕方ないし勇者パーティでついていけなくてもS級ではあるんだぜ
此処を出れば、幾らでも次がある。
こいつ等が凄いだけで他のSランクパーティーならまだ通用するし、Aランクまで落とせば恐らく引くてあまただ。
別に困らないな。
「ついて来れないのは分かっているだろセレス」
「そうだな、確かに魔法戦士の俺じゃ皆について行くのは...難しいな」
これで良い。
ゼクトの狙いは解っている、ハーレムが欲しいんだ。
その為には俺は邪魔だな。
「勇者として大きく飛躍するには大きな手柄が必要なんだ。残念ながらお前とじゃ無理なんだ。なぁ分かってくれよ、パーティを抜けてもお前が親友なのは変わりないからな。」
リーダーが言うなら仕方ないだろうな...
居ても仕方が無い。
他の奴もきっと同じだろう。
俺は可愛がっていたメルの目を見た、彼女ももう昔の優しい目をして居ないし完全にゼクトの女になっているのも知っている。
「私もゼクトの意見に賛成だわ!貴方はもうこのパーティについていけないじゃない。きっと近いうちに死ぬか大怪我をするわ..さっさと辞めた方が良い...これは貴方の事を思って言っているのよ」
「メル...そうだよな...ありがとう!」
まぁ、そう言うだろうな!俺と目を合わせないんだからな。
別にゼクトと一緒に寝ていようが俺は気にしないんだが、仕方が無い
ふと、メルの首に目がいった。
首には見知らぬネックレスが身につけられている、これは多分ゼクトが買い与えた物だろう。
俺のあげたネックレスもうしていない...ちょっと寂しいな。
俺は魔法戦士、諦めが肝心だ。
他の2人も同じネックレスをしていた。
ハーレムパーティーに俺は要らない。
そう言う事だな、まぁ一応確認はしておくか?
「メル...俺は必要ないんだな!」
「....」
「君の口から聴きたい」
「もう、貴方は要らないわ」
そんな事は...もうとっくに気が付いていたあくまで確認だ。
「まぁ、ゼクトは良い奴だ、幸せになれよ!」
「し..知っていたの?」
「ゼクトは良い奴だ...他の男なら決闘だが、ゼクトなら諦めもつく」
「ごめんなさい!」
「気にするな」
悲しい顔しているが、そんな必要は無いのにな。
まぁ少し寂しいが。
「大人しく村に帰って田舎冒険者にでもなるか、別の弱いパーティーでも探すんだな」
「そうだな、暫くゆっくりして考えてみるわ」
こいつはメルが俺と付き合っていると勘違いして寝取った。
メルに特殊な感情は無いし、少し困っていたから、まぁいいさ...
親友だがこの女癖の悪さ…治らないものかね。
ゼクトは勝ち誇った顔で俺を見ている。
思いっきり、俺を見下している。
このマウント癖もどうにかならないのかね。
何をしても優秀で、顔も良くて、強くて、おまけに勇者に選ばれた。
態々マウントなんて取らなくても良いんだ。
黙っていれば誰もが『お前は凄い』そう称えるだろう。
だが、この二つで台無しなんだぞ…少し心配だ。
メルは俺の恋人じゃない、お前がリダとマリアとばかり仲良くしているから、自然と俺が相手していただけだ。
寂しそうで可哀そうじゃないか?
ハーレム作りたいなら、平等に愛すべきだな。
『親友』
本音で言えよ。
夜、男同士で『ハーレムが欲しいんだ』そう相談してくれよ。
そうしたらもう少しスッキリ出来たんだぞ。
「さようなら、セレス」
「さようなら」
「貴方より!ゼクトの方がごめん...」
4人の幼なじみが一斉にお別れの言葉を言ってくる...思ったより堪えるなこれ..
そう言う気はないが今までの人生で長い時間を過ごしたからか、寂しさはこみ上げてくるんだな。
「じゃぁな!」
「余り酷い事言うなよ メル!セレスだって俺の親友なんだからな」
「気にするな!今度会った時は笑って話そうな...世話になったな。四人とも幸せに暮らせよ!」
「それじゃ、パーティから抜けてくれるんだな!」
「ああ、お前達は世界を救えばいいんじゃないか。じゃぁな、俺はまぁゆっくり考えるわ」
さようならだ...
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