寝取られビデオレターが届いた。送り主はもう1人の自分
赤茄子橄
第1話 寝取られビデオレターを受け取った
「さて、
「.................そんなんじゃないよ」
テーブルを挟んで向こう側のソファに座って俯いたまま、僕の質問に短く返す女性、
彼女は僕がお付き合いさせてもらっている女性。
僕みたいな人間に、たくさん愛を注がせてくれて、彼女も僕だけに注いでくれていて。
......そんな順風満帆な関係だと思っていたんだけど。
どうやらそれは僕の勘違いだったらしい。
そのことは、彼女を問い詰めるまでもなく、ノートパソコンに映し出されているこのビデオがよく物語っている。
今朝、自分の部屋のデスクの上に置かれていた1枚のDVDディスク。
その中に収められていた動画こそ、敢えて対話して何かを聞き出す必要もないくらいの決定的証拠。
さっきまで再生していて、今は一時停止してるけど、ディスプレイの中では雅恋さんにガッツリ男のナニがブチ込まれている。
しかもモザイクなしだから、ノースキンで結合していることまでわかってしまい、絶望感がすごい。
さらに悪いことには、雅恋さんは抵抗する素振りを見せるどころか、むしろ雅恋さんの方から「早く入れて〜♡」なんて誘うようなことを言っているではないか。
結果、雅恋さんの身体は相手のナニをすんなり受け入れていて、上の口も下の口も気持ちよさそうな嬌声をあげる光景が目の前の画面の中で繰り広げられるという......。
そして、残念ながらその相手は
僕はまだ雅恋さんと致したことすらないのに。
まぁ、まだ致していないことに関しては僕の責任なので文句を言う部分じゃない。
付き合いだしてもう半年が経つけど、僕の都合で待ってもらってるんだ。
いやさぁ。なんというか、そうやって待たせたせいで不安にさせてしまったとか、そういうのはあるのかもしれないよ?
でもさぁ......。
......こんな裏切り、許せるだろうか。
僕は別に処女厨というわけではないけれども、これは立派な不貞行為。
しかも、自分で言うのもなんだけど、僕はかなりの潔癖症だ。
今だって、彼女への愛がここまで大きくなかったら、近寄りたくもないとか思ってたかもしれない。
幸いにも、まだそういう感情にはなってないけどさ。
ま、当然追求するし、僕らの仲はこれまでのまま、というわけにはいかないだろうけどね。
「ねぇ、何か言い訳くらいないの?」
「..................」
強情にも無言を貫き通す彼女。
はぁ......。もういい。
決定的場面を映し出してあげよう。
ノートパソコンを自分の方に寄せて、再生を一時停止した状態のまま、動画下のシークバーを動かして、問題のシーンを探す。
「............このあたりかな......? あぁ、ここだ。よく見ておきなよ、雅恋さん。君が僕を裏切る決定的瞬間だよ」
僕はそう言って、画面を雅恋さんにも見えるように横向きに動かした後、画面左下にある再生ボタンにマウスを動かし......押下した。
直後、映像の再生が始まり、同時に聞きたくもない肉のぶつかる音と嬉しそうな女性の声が響く。
聞き間違えるはずもない。それは雅恋さんの声だ。
僕がまだ聞いたことのない淫靡な声だけど、それでも、僕が心の底から愛している彼女の声なのだから、嫌というほどはっきりわかってしまう。
画面の中では、雅恋さんは犬のように四つん這いになり、ヤツに後ろから両腕の手首を掴まれてやや背中を仰け反るような姿勢で突かれている。
服は着用したままだけど、都さんもノリノリで相手していることが伝わってくる。
場所はどうやら僕らの住むこの家の寝室。
アングル的に本棚においたカメラでの隠し撮りだろう。
映っている2人がいるベッドまでは僅かに距離があるものの、2人の行為の詳細がわかるくらいには、鮮明に映っている。
......神聖な僕らの家で不貞行為なんて、まじで許せない。
しかも、動画の中から聞こえてくるのは、「あのフニャチン野郎に申し訳ないとか思わねーのかよw』とか「ま、どうでもいいけどあいつにも謝っとけw』とか、「雅恋の心も俺のもんだからw』とか、軽薄でオラついた言葉で話すアイツと、それに悦んで応える雅恋さんの聞くに堪えないゲスい会話。
最悪なことに、最後には遠慮なく雅恋さんのお胎の中に......。
そんで、最後にダメ押しの、ヤツからの一言。
『ふぅ......。よぉ、
そう言いながらヤツはぐったりする雅恋さんの唇を奪って......。
正直、この映像を見るのも苦しすぎる。僕には寝取られて悦ぶ趣味なんてない。
だけど............こんなことになっても、僕の雅恋さんへの想いは変わらず、むしろ嫉妬で燃え上がっている。
だからこそ、ここでちゃんと問い詰めて、しっかり反省してもらって、二度としないと誓ってもらった上で僕のもとに戻ってきてもらわないと。
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