いつの間にかライン交換!?

 聖は校門を出た後もトコトコとついてくる。このまま俺の家まで来る気か。


 ストーカーかな?


「……聖」

「気にしない気にしない」


 気にするわっ!

 聖は屈託くったくのない笑みを浮かべ、ご機嫌だ。正直、憎めない笑顔なだけに俺は戸惑う。


 仕方ない、奥の手だ。



「あ、聖! 空にUFO!!」

「えっ、本当に!? ――って、桜庭さああああああん!!」



 馬鹿正直に空をあおぐ聖を置いて行き、俺は全力疾走。まさか、こんな子供だましな手に引っ掛かるとは。



 * * *



 自宅のアパートに帰った。

 高校二年になってから一人暮らしだった。VTuberの仕事のおかげが収入は安定していたし、たぶん、高校を卒業してもバーチャルアイドルの活動を続ける。それが俺の天職だから。


 靴を脱ぎ、リビングへ向かうとスマホが鳴った。


 えっ……?


 事務所からかな。

 ――と、スマホを覗くと『聖』からだった。アイツ、いつの間に俺のラインを……え、怖っ!


 一応追加して、俺は聖にメッセージで聞いた。


 柚菜:あなた、何してるの!

 聖:えっ、ライン交換したよね?


 してなーーーい!

 してない、してない、してないって! なんのこと!? いつ、どこで、俺が同意した!?


 あわわわ……聖、怖い。

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