異世界に行く 前日編

YUKI

第1話【色々と起こりそうな予感】

黒い髪の冴えない顔の冬服の高校生が手に黒いカバンを持ち、

 

「今年の桜も綺麗だな」


 学校に向かう為の多くの生徒がその桜道を利用してる為、他に仲よく男子と女子が歩いてたが、気にせず僕は桜を見ながら歩いていた。

 この少年の名前は川森明人[かわもりあきと]で、およそ100年前に並列世界の別の世界とこちらの世界と交流があり、こちらの世界の勉強を学ぶ為に、友達のとあるグループが数年前から試験的に始め更に事業拡大で、この町にも新設された『異界共友黒崎高校』に、とある天災を起こす問題児の一言で僕と他の友達とこの高校に試験と面接とう無し通うことになった。


(今日から、向こうの世界の人達と勉強を共にするのか)


 正直、僕は不安も有ったが、それよりも興味も有った。

 何故なら、向こうの世界には魔法や魔物がいるファンタジーなゲームみたいな世界だと聞いていたからだ。


(今は・・この平和な時間が続くといいな)


 軽く息を吐き青空を見ながら僕は思ったが、現実は甘くはなかった。

 

「こんな晴ればれしてるのに、君は何を考えるのかな?」

「え?」


 凛とした少年の口調が聞こえて、気持ちが清々しい日に僕は聞きたくない声が聞こえて立ち止まって、直ぐに振り返った木の後ろから、黒い髪を靡かせた眼鏡の美形の少年が立っていたことに、僕は嫌な顔をした。

 彼の名前は叶真一郎[かのうしんいちろう]で、いわゆる歩く『天災を起こす天才』で、正直に僕は認めたくないが友達(腐れ縁?)だった。


「おやおや?」

「そんな顔をするとは、全国40万人のファンがいる天才的な僕に失礼だぞ♪」


 ニヤニヤした顔で真一郎は言うと、


(いやいや、ファンは全くいないだろ!)


 内心でツッコミしつつ僕の行動は決まった・・・それは!


「ああー、僕は聞こえない」

「全く何も聞こえない!」


 両耳を押さえて、その場を早歩きで立ち去ろうとした。


「いいのかな?」

「君が中学の時の失態をここで暴露するよ♪」


 どこからか真一郎は手品ような手の動きでマイクを取り出した。


「皆さん、聞いて下さい」

「なんだ?」

「何かしら?」

「わー!」


 周りの人がこっちを見て、慌てて僕は真一郎を止めに向かった。

 

「中学の時に彼はー」


 真一郎が喋ってる途中でマイクが爆発して顔が真っ黒な煙に包まれ、僕は足を止めて何が起こったかわからなかった。


「ば、爆発!?」

「は!?」

「あいつ・・・大丈夫か?」


 周りの人達も驚きの声を上げた。


 咳き込んだ真一郎は四つん這いになり、


「ゲホ・・ゲホ」

「今日は私の愛しき主様のこちらの世界の学校の初の登校日に、虫けらが無粋にも何をくだらない事を騒いでるですか!」

「ぐえ!?」


 いつの間にか現れた真一郎の後頭部にメイド服の女性が片足を乗せ、真一郎は下の舗装された道に顔が激突した。


 その女性はロングの黒髪の可憐な美しい顔立ちがよくスタイルもよく、周りの歩いてる他の男子はチラと見て、「痛そう」や「羨ましい」や「ありがとうございます」とか、大丈夫か見る者や残念そうに見てる者や笑顔で拝む者もいた、一緒に女子と歩いて周りの男子も頬を赤らめたり、鼻の下をのばしたりしてる仕草を見て女子は、無言だったり半泣きだったり真っ赤に怒たりして、背中つねられたり、頬を叩かれたり、けっとばされたり、足を踏んだりと女子と歩いてた男子達は悲鳴が聞こえ散々な状況だった。


 僕を含めた女子と歩いて居なかった男子は引きつった顔になった。


「こわー」

(うわー)


 ある意味で周りがカオスになっていたが、この状況を変えたのは、


「僕は気にしてないから許してあげたら?」


 少し離れたところから僕より身長の低い同じ制服を着た、茶髪の優しそうな顔立ちの男の子が一声かけて歩いて来て、メイドはいつの間にか真一郎の後頭部から足を放して男の子の目の前に立っていた。


 まだ納得がいかかないメイドは、


「ですが・・・しかし」

「僕からのお願いだよ」

「愛しき主様♪」

「『シオンさんは先に学校に行ってるから』ってメールがきたから行こうよ」

「わかりました」

「レモン、急ぎますよ」

「お姉さま、はいだわん♪」


 にっこりと男の子は微笑むとメイドは軽くお辞儀をして、男の子と歩き少し後ろをメイドは微笑みながら歩きだしその後に声かけて、返事が聞こえ黒いカバンを大事に持った金髪のちょい露出が多いメイドが歩いて来た。


(えろいな)


 その姿をみて僕もドキドキした。


 その金髪のメイドを見て周りの男子達も刺激が強くは、


「たまらん」

「俺もあんなメイドが欲しい~」


 羨ましそうにしていたが、誰も襲う気にはならなかった。

 理由は先程の真一郎の後頭部を踏んだりメイドの行動は明らかに尋常でない為、ここで騒動を起こせば真一郎と同じ末路、もしくはそれ以上の結末になるかも?と思えたからだ。


 変化は周りの女子達にもあった、男子をつねるたり、蹴る事無く、女子どうしで集まって、「あの子かわいい~♪」、「乗り換えようかな♪」、「あの子を口説こうかな?」、「でもさっきのメイドさんが切れそうで怖いし・・・」、「だよね」、「あれと同じ末路は嫌だし」とか相談してその声が聞こえた。


(なんか・・・色々と起こりそうな予感だな)


 初日の登校日でこれでは、先行き不安な予感はするが学校に行く事にした。

 

 勿論、起こすとめんどなので真一郎は放置した。

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