彼女ガ恋愛脳過ぎて世界ノために戦っている場合じゃあリません

ひなの ねね

プロローグ 恋愛か世界平和か

第1話 世界平和と護衛任務

「零護(れいご)、お前は今日から三年間、確滅の巫女の神威として東京での修行を命じる」


 乾零護(いぬい れいご)は父親から受けた言葉を思い出しながら、ここ〈アメノミハシラ学園〉の巨大な校門前で仁王立ちしていた。


 零護の手には時間が立ち過ぎて変色した手紙が握られている。零護は綺麗に折りたたまれた手紙を開き、中に書かれている文章を改めて読んだ。


『れいごえ 16さいになったら いっしょにせかいをすくうんだからね、わたしとだからね まもり』


 小学生だから仕方ないのだが改めて見ても汚い字だ。しかもれいごえの「え」が間違っている。正しくは「へ」だろうに。


 零護は誰が見ても笑っていないクールな表情のまま、口元だけ緩めて改めて手紙を学ランの胸ポケットに押し込める。


(俺が修行している間に世界はこんなにも変化していたのか)


 小学校まで東京に住んでいたが、転校してからずっと山奥の隠れ里で修業をしていたので、約八年ぶりくらいだろうか。


 東京に再び向かうことになって初めて世界の状況を知ったのは数時間前だ。


 世界は数年前から、〈フィールド〉というものが突然街中に自然発生する世界になっていた。フィールドにはモンスターと呼称されるバケモノが出現し、フィールド化した一帯を破壊しつくすという。


 フィールド内でモンスターに対抗し、フィールド化を解除できるのは特殊な武器を操る〈プレイヤー〉と呼ばれる人間だけで、そのプレイヤー育成機関がこの眼前に立つ超巨大な学校、〈アメノミハシラ学園〉だった。


(だが世界は変わっても俺のやるべきことに変わりはない。確滅の巫女を守り、巫女と共に世界を救う、ただそれだけだ)


 拳を強く握る。


 零護はただ巫女を守る為だけに、我が家に伝わる<名もなき流派>を学んだ。この鍛え上げられた身体能力と技は全て確滅の巫女を守るためにある。


 本来ならば父親たちのように、世にはびこる邪を、巫女と共に漠然と祓い続ける予定だったが、世界にフィールドとかという異変が起きているのならば、それを解決するのが今の代の確滅の巫女と<名もなき流派>を受け継いだ零護の務めだと彼は強く心に誓っていた。


 そしてその確滅の巫女は待ち合わせから三十分ほど遅れている。


 あいつはいつになっても、自由気ままだな。と思い出しつつもどこか心は弾んでいた。


 やれやれと溜息をつきつつ、零護は頭をかいて空を仰いだ。



────────────────あとがき──────────────────

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


初めてのラブコメなので、参考までに「★」「応援」「コメント」をいただけると、とっても嬉しいです。


いつかレビューがもらえたら嬉しいなと思いつつ、次回のお話も頑張ります。

もし少しでも気になってもらえたら、フォローもお待ちしています!

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