秘密の恋
星塚莉乃
誰にも言えない
私には密かに想っている人がいる。その人は先輩で自分とは世界が違う人だと思っていた。いつもキラキラしていて爽やかな笑みを浮かべていて誰からも信頼られていてとても素敵な人。そんな人と私があんな形で関わることになるなんて想像もしていなかった。
ある日のことその先輩がとても困っている現場に遭遇してしまう。先輩が誰かに言い寄られていたの。でも私には助ける勇気なんてないからその場を素早く通り過ぎようと思っていたんだけど……通り過ぎる途中で先輩と目が合ってしまって先輩が声をかけてきた。
「ねえそこの子! 少しいいかな?」
「私……ですか?」
「そうそう。君以外いないよね?」
先輩は私に手招きをしながら不敵な笑みを浮かべていた。私は嫌な予感がしたけど素直に従い先輩の元に向かうと言い寄っていた人は驚き先輩と私を見比べ問いかけてきた。
「あの……その子って
「うん、そうだよ。俺ずっとこの子のこと好きだった。だから君とは付き合えないごめんな?」
その言葉にその言い寄っていた子は声を荒らげた。
「先輩の嘘つき! 私となら付き合ってもいいって言ったじゃないですか!」
「俺、そんなこと言ったか? あぁもしかしてあれのことか? 君が本気で俺のことを好きなら付き合ってもいいって言ったけど……君、俺のこと本気で好きじゃないよね? イケメンでハイスペックな人と付き合うことで周りに自慢して自分のステータスをあげたいだけでしょう? 君は俺のこと完璧でなんでもできる人間だと思っているみたいだけど実際は違うから。」
「そんなことないです! 先輩はなんでも完璧にこなしているではないですか。信じられません! 」
とその子が食い下がり先輩は私の方に視線を向けてきた。私に何かを言って欲しいようだったので私は仕方なく口を開いた。
「それは先輩が日々努力をしているからだと思います。いつも授業を真面目に聞いて復習をしていると偶然聞いたことがあります。誰だって努力してるんです。完璧をたもつにはそれ相応の努力をしないといけないと私は思います。」
それを聞いた彼女は踵を返すと行ってしまった。
「では、私もこれで失礼します」
そういいお弁当を取りに行くためその場を離れようとすると先輩に引き止められた。
「君の名前は確か……」
「
そう答えると先輩は安堵の笑みを浮かべた。
「確かそんな名前だった。前に君の友達らしき人が名前呼んでたから。助かった。巻き込んじゃってごめんな。好きな子とか言ったし……」
「いえ、私は気にしてません。」
「それにしてもあいつしつこかったから助かった。この礼はするから」
お礼はいりませんと断る前に先輩が行ってしまったため私もお弁当を取りに教室へと向かった。その日を境に何故か私はその先輩に気に入られたようでからまれることになった。
例えば、私はいつも朝は親友の瑠衣と一緒に学校に行っているの。けど偶々瑠衣が水やりの当番で早く行った日の朝に挨拶されそのまま何故か話しかながら下駄箱まで一緒に行くことになったり、私が忘れ物を取りに行く途中に先輩と会い立ち話をする羽目になったりそんな日々が続いた。
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