あの橋の上でまたいつか

@suinudalua

第1話

(俺なんて生きてても無駄なんだ……いっそここから…)

俺は橋の手すりの上に乗り、川に反射する、自分の顔を見つめていた。そして、力を抜き、ゆっくりと前に倒れ始めた時、後ろから思いっきり引っ張られた。

「お兄…さん何して……るんですか。」

その少女は息を切らしながら、俺に質問してきた。

「何って…まぁ、死のうかなって。」

「僕より先に死なないでください。」

その少女は、急に変なことを言い出したが、その言葉を無視し、もう一度前に向き直した。すると

「よっと、おっとと。よし乗れた!」

と、言いながら少女も手すりの上に登ってきた。

「お前も死ぬのか?」

「えへへっ。まぁね。」

「まだまだ人生長そうじゃん。」

「これでも、15年は生きてるし!」

最期の時に、たわいもない世間話を繰り広げていると、少女が前を向き、

「じゃあ、お先に失礼しますね!」

と、言って前に思っきりジャンプしていた。

俺は咄嗟に、

「何してんだ!」

と、叫び、その少女を庇うようにして川に頭から飛び降りた。橋から川までの距離は意外と長く、相当な衝撃が頭に走った。

(くっそ!これが死かよ……意外と辛いなぁ。も…う……終わりかよ……)



……ってまでが俺の中の最後の記憶なんだが?」

結局俺は、橋の上をたまたま通りかかった人に助けてもらい、市内の病院に運ばれていた。そして、自分が覚えてるところまでを、少女に話していた。

「お兄さん、やばかったよ!」

「お前が危ないことするからだろ!」

「でも、助けてくれてありがとう、お兄さん。」

俺は、少女から感謝の言葉を受けて、少し嬉しくなっていた。

「そういえば、お前名前なんなんだ?」

「僕の名前ですか?  『竹内優馬』です。」

「男みてぇな名前してるな。」

「まぁ、男ですから。」

少女、改め優馬が放った言葉に俺は固まってしまった。

「はい、僕は言ったのでお兄さんも教えてください。」

俺はさりげなく、

「『篠崎美咲』」

と、答えた。

「お兄…お姉さんだったんだ……」

優馬は最初は驚いたものの、自分の見た目もあってか、すぐに理解した。

「そんなことより、早く帰らないと!バイバイ、お姉さん。」

「あぁ、バイバイ。」

俺は、嵐のようなやつだったな、と思いながら、その日を終えた。

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