焦点距離とズーム倍率

 よくズーム倍率○倍のカメラという表現がありますね。このズーム倍率とは、ズームしていない広角側の画角と、ズームした望遠側の画角の比の話になります。

 画角とは、写真として写る範囲の端から端までの角度のことです。水平画角なのか、対角画角なのかは注意が必要ですが。

 なので広角側の画角が異なるカメラ同士で、こっちはズーム倍率が○倍だからより望遠が効く、という倍率だけで比較をしてもあまり意味がありません。


 画角はレンズの焦点距離によって決まります。単位はmm(ミリメートル)です。撮像素子からレンズの焦点が合うまでの物理的な距離となります。初歩的なものは中学校の理科で習ったかと思います。

 短いと広い範囲が写る広角、長いと狭い範囲が写る望遠となります。広角と望遠の中間は、標準と呼ばれます。

 例として25-100mmの標準ズームレンズAと、100-400mmの望遠ズームレンズBがあったとしましょう。ズーム倍率はどちらも4倍ですが、Aの望遠端とBの広角端の画角は同じになります。


 ただし上記はフィルムカメラと同じ撮像素子サイズを持つカメラの話です。カメラを単純に小さく作れば、小さいサイズでも同じ範囲が写るカメラができあがるのは理解できると思います。

 焦点距離とは物理的な距離(長さ)なので、小さく作ったカメラだと、同じ画角でも実際の焦点距離は短くなるのです。


 これだと撮像素子サイズが異なるカメラで比較がややこしいことになるので、『換算焦点距離』というものが生まれました。35mm換算した焦点距離と表現したりもします。フィルムのサイズが35mmなので、こんな表現になりました。これで異なるカメラ同士で、画角(ズーム位置)の比較がしやすくなりました。


 スマホを含むレンズ一体型カメラの場合、仕様表などに換算焦点距離が載っていると思います。これで写真として写る範囲を他の機種と比較できると思います。レンズ交換式カメラの場合は、カメラボディの撮像素子サイズからご自身で換算してください。

 一般的にはマイクロフォーサーズは素子サイズがフィルムカメラの半分なので、換算焦点距離は2倍です。各社APS-Cは1.5倍(CANONのAPS-Cは1.6倍)していただければと。

 なので、同じレンズでもつけるカメラボディによっては写る範囲が変わることがあります。


 さて、ここで私の手持ち機材を確認してみましょう。

 APS-CであるEOS 50Dと、1.4倍テレコンを組み合わせると、広角端はフルサイズにSIGMAの超広角単焦点レンズをつけた14mmから、望遠は600mm×1.6×1.4の1344mmまで可能です。そのズーム比なんと96倍!

 まぁ、間に抜けている焦点距離はありますが。

 満月を1344mmの望遠で撮れば、画面いっぱいの高さの半分を月が占めるように写ります。

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