6. 同期との再会。

 運命的な出会いはないと思っていた歓送迎会。何故か出会ってしまった…。

「あれ…?」

「あ…」

 入社以来お会いしてなかった同期と久々に顔を合わせた。

「部署違うと全然会わないよね」

「そうですね」

 それくらいの会話で終わるところなんだけど。

「あ。いた。いた…」

 タイミング悪く、万遍の笑みで三矢みやさんが近付いて来た。

「探してたよ、三戸みとくん」

「今度、そちらの部署へ異動になりました。よろしくお願いします」

「そうなんだ…」

「何、その嫌そうな顔…」

「嫌じゃない…」

 うっかり忘れそうになってた感情を思い出してしまった。

「何、二人とも仲良しさん?」

「三矢さん、部長が呼んでましたよ」

「マジか…。ありがとう…」

 嘘なんだけど。今は三矢さんに居られたくないから。

「俺、何かした…?」

「いや、何も…」

 何もしてない。ただ、俺が傷付いて避けただけの事だから。

「何、それ…」

「忙しいから覚悟した方がいいよ」

「それ覚悟して希望出したから、平気」

「お仕事、好きなんですね」

「いや、多田ただに会いたくて」

 そういう事を平気で言うヤツだった…。

「じゃあ、部署に来たら…」

「だから、依願届出したでしょ?」

 三戸の方を見ると、真っ直ぐ俺の顔を見つめていた。思わず、目線を逸らした。

「目も合わせてくれないんだ…」

「眩しくて、無理…」

「そんなにテカってる…?」

「いや、そうじゃなくて…」

 三戸は皆が騒いでいる場所を指差して、

「とりあえず、戻ろうか?」

「そうだな…」

 同期と言っても、幼い頃から知ってるヒトでもある。幼馴染みというヤツなんだろうけど。その記憶ももう思い出したくないほど、かな…。

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