4. 夢じゃない

「可愛いでしょ?」

「可愛くないです…」

「酷くない?」

「逆に、酷くないですか?」

 同じ部署の目立たない女性ヒトをご紹介された。何年か居たらしいのだが。俺の記憶に全くない…。

 ちなみに可愛くないのは、引継ぎの量…。

「俺、きっと上手くいかないと思うんです。三輪みわさんもご存じの通り、俺、ゲーマーなんで」

「私よりマシじゃない?」

「三輪さんにはいるじゃないですか」

「ん?」

「旦那さん…」

「あ。名ばかりの、ね」

「そういう契約結婚みたいなのしか無理な気がして…」

「じゃあ、それでもいいのか提案したらいいんじゃない?」

「それじゃあ…」

「相手のこと思うなら、自分のことも思わなきゃ…」

「検討します…」

「いい返事お待ちしております」

 まぁ、悩め。若者。と言って、去って行く三輪さんの後ろ姿は堂々としていて…。

 敵わないな…。

 思わず、溜息が出てしまった。

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