僕らが辿った一つの軌跡-壱-(旧;始の鐘)

@nokal

第0話 プロローグ

赤い旋律が瞼の裏まで届いた。

目を閉じていてもわかる現状。

爆風が人々を撒き散らし、砂埃の土臭い匂いと鉄の匂いが混じり合う。

誰かが苦しむ声や、

嘆く声が、私の心をさらに締め付けた。

嗚呼、もう終わりなんだ。何もかも終わりなんだ。

そう悟った。

今私にできることなんか何一つなくて、ただ立ちすくむ哀れな人間だ。


誰かのヒーローになりたかったと、

誰かを救えるような自分になりたかったと、

誰かに感謝される自分になりたかったと……。



確か、あの時、あの子はこんなことを言っていた気がする。

彼はあれほどのことをして、もう十分ほどにできていた。なのに私は「大丈夫だよ。君は十分役割を果たしているよ」なんて言えなかった。それじゃまるで彼の死を受け入れてしまうかのようで怖かったのだ。

だけれど、たった今そのことを後悔している。ううん、それだけじゃなくて好きな人にも最後まで気持ちを伝えることができなかった。あの子も守ってあげられなかった。

後悔しかないこの時を、もしも遡ることができなのなら、私は何を願おう。

みんなを救ってください。

違う、もっと大きなこと。

戦争を止めてください、起こさないでください。

違う違う。もっと、もっと大きなことだ。


私は過去の心に願う。


私たち四人が出会いませんように……―――。



どこかで小さく低く鐘が鳴った

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