38.君は名前すら書かずに、答案用紙をむしゃむしゃと貪り食った。

「ぐふふ!!!答案用紙は美味いのう!!!」

 裏返しの答案用紙が君の机に回ってきた瞬間、君は答案用紙をむしゃむしゃと貪り食った。


「な、なにやってるんだよキミ!!!」

「何をやっているんだ!!」

 教師と広井さんが同時に叫んだ。

 だが、叫んだぐらいで君を止めることは出来ない。


 君は隣の席から、前の席から、後ろの席から、東西南北中央の答案用紙を制覇し、さらにその手を伸ばしていく、誰も君を止めることは出来ない――初めての中間テストは君の答案用紙食べ放題会場ビュッフェと化したのである。


「ねぇ……なにバカなことしてるんだよ!アタシと勉強してたのって答案用紙をむしゃむしゃ食べるため?違うでしょ!ねぇ……やめてよ……」

「悪いなぁ……広井さん!わしゃあ!!山羊人だったんじゃ!!」

 広井さんの制止の声も聞かずに、君はむしゃむしゃと答案用紙を食べ続ける。

 そのうちに教師の手には負えないと、警察がやって来て君を取り押さえた。


 そして君は学校を辞め、フリーのシュレッダーとして地元企業を彷徨っている。


【就職END】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る