2-神様多くないですか

 突然出来た黒い穴に、僕は少し興味が出て逆にラインダート様はと言うと汗がだらだらと出ており、顔が青ざめていた。そこから出てきたのは男女合わせて7人だった。


「み、みんな、どうしてここに居るの?」


 ラインダート様は汗をだらだらと流しながらも出てきた人たちにそう言った。


「どうしてここに居るかですって?」


 そこで一人の女性が口を開いた。


「貴方が私の神域に入り遊んで、更にはまだ亡くなる予定のなかった人を亡くしたのに私が気付かないと思いますか?」

「………いえ」

「貴方が度々私の神域に来るのは知っていました。しかし、まさか誤って命の灯を消すなんて馬鹿な事をしたのは何処の誰なんですかね?創造神様?」


 顔は笑っているのに目が笑っていない。器用ですね。


「それで、君が創造神様に誤って殺されてしまった佐々峰 薫君ね。」

「あ、はい。」


 さっきまでのラインダート様に向けていた顔が嘘のように柔らかくなり、僕に微笑んだ。


「ごめんね。ちょっと創造神様を借りるわね。」

「ど、どうぞ?」


 それから小一時間ほどラインダート様は女神様たちにこってり搾られたようです。


「…今回はご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。」


 そう言ってラインダート様は土下座した。


「だ、大丈夫ですよ。」


 流石に神様が人間に土下座するのはシュールですね。


「それでは、薫君に謝罪を受け入れて貰えたので私たちの自己紹介をします。宜しいですか、皆さん。」

「「「「「「良いぞ(よ)」」」」」」

「では私から。私は地球とラズワールで生命と死を司る神、生命神をしているリーファよ。宜しくね。貴方には迷惑を掛けたから私の加護を授けるわね。これで回復系のスキルは強化されるわよ。」


 そう言ったのは先ほどまでラインダート様を叱っていた女神様改めリファ様。生命神をしているだけあって髪は薄緑色、瞳は緑色ですね。


「次は俺だな。俺はラズワールで全ての武術、と言っても剣術や槍術、拳術などを司る神、武神をしているアルミドだ。今回は俺もお前に加護をやるぜ。これで武技や武術系のスキルが得やすくなっただろう。」


 そう言って赤髪に紅色の瞳の如何にも武人らしい人が話し掛けてきた。


「次は、私。私は、ラズワールで、全ての魔法を司る神、魔法神をしている、マナ。でも、回復系の魔法は、リーファの方が、得意。私も、貴方に、加護あげる。私の、加護は、魔法系スキルの強化と、入手のし易さ。有効活用してね。」


 そう言って黒髪に紫色の瞳の女性が話し掛けてきた。


「次は私ですね。私は地球とラズワールで豊作や大地の健康などを司る神、大地神のファムです。私も貴方に加護を授けますね。私の加護は病気や呪い、各種状態異常等による耐性ですね。」


 そう言って茶髪に茶色の瞳の女性が話し掛けてきた。


「次は儂じゃな。儂はラズワールで錬金や鍛冶などによる生産を司る神、技能神のグスタフじゃ。儂も坊やに加護をやろう。儂の加護は鍛冶や錬金などの成功が約束される加護じゃ。殆どの奴が持っておらんから坊やは気をつけるんじゃぞ?」


 そう言って白髪で瞼が垂れているおじいさんが話し掛けてきた。


「次は私かな?私は商業を司る神、商業神のミルドだ。私も君に加護を授けよう。私の加護は鑑定と収納だ。収納は殆ど何でも入るから気にしなくてよいぞ。」


 そう言って紺色の髪と紺色の瞳をした技能神様と同じ、おじいさんが話し掛けてきた。


「次は私ですね。私は精霊たちを統べる神、精霊神のスピーナです。私も君に加護を授けるわね。私の加護は精霊と通じ合うことが出来るのと精霊魔法を使うことが出来るわ。転生したら貴方の所に精霊を贈るわね。」


 そう言って金髪と黄金の瞳をした女性が話し掛けてきた。


「最後は僕だね。僕は地球とラズワールを創造した創る事に司る神、創造神だよ。まあ君にはさっき挨拶したから大丈夫だよね。僕も君を死なせてしまった責任を取らないと行けないからね。」

「「「「「「「当たり前だ(です)!!!」」」」」」」

「そ、そんなに言わなくても………取り敢えず君には僕の加護を授けるよ。僕の加護は経験値習得10倍、必要経験値1/10、時空魔法習得、創造魔法習得だよ。」


 創造神様はさも当然のように凄いことを言い放った。


「それは…僕が持っていても良い魔法なんですか?」

「良いよ。じゃないと来たる厄災に立ち向かえないからね。」

「来たる厄災?」

「今はまだ教えることは出来ない。ごめんね?だけど必ず知るときが来るさ。」

「分かりました。」


 今はまだその厄災が何なのか分からないけどせっかく神様がくれた第二の人生だ。少しくらいは神様たちのお願いは聞こう。


「それじゃあ転生させるけど、いくつかやって貰いたいことがあるんだ。」

「やって貰いたいこと?」

「そうだよ。1つは毎日ひたすら魔力を使い切って。そうしたら魔力量も増えるから。10齢を超えると魔力量は上がりにくくなるんだ。二つ目はステータス欄にある加護の隠蔽。流石に生まれ直後で加護を持っていたら驚かれるからね。隠蔽は創造魔法で創ってね。これが君にお願いしたいことだよ。」

「2つだけですか?」

「今のところはね。流石に赤ちゃんの体に武術を習えなんて言えないからね。」

「分かりました。」

「それじゃあ君を転生させるよ。何か希望があるかい?」

「そうですね………なら出来るだけ何不自由なく、家族愛がある家庭に生まれたいです。」

「オッケー準備しとくよ。それじゃあ行ってらっしゃい。」

「「「「「「「またな(ね)!!!」」」」」」」


 そう言われて僕はそこで意識を失った。

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 登場人物


創造神ラインダート

生命神リーファ

武神アルミド

魔法神マナ

大地神ファム

技能神グスタフ

商業神ミルド

精霊神スピーナ

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